2010-01-01から1年間の記事一覧

 【12】 田螺

宿の正面玄関でタバコを吹かしながら雨宿り。 目の前を通り過ぎる雨が 太い線から細い糸に変わり 間もなくまばらな点に変わる。 地面を叩く音も聞こえてこない。 眼下を覗き込むと もやりとした湯気が広がりだしていた。 人々も頭上を気にすることなく 通り…

 【11】自転車的小旅行

まるで水墨画の世界だ。 無機質なアスファルトの道路の脇には 畑や水田が広がり その向こうに細長く丸い山が連なる。 陽光をはじいた稲の緑と 山々の深いグリーン。 時に橋がかかり 眼下にゆったりと川が流れ イカダが浮かぶ。 川沿いに並ぶ観光客用のカラフ…

 【10】 陽朔

車内がざわざわとうごめきだしたのを 希薄な意識の上で察し 眼を醒ました。 右手の通路を 乗客達がリュックを座席にこすらせながら歩き 前方の出口に向かっている。 いつのまにか眠っているうちに いつのまにかバスは陽朔(ヤンシャオ)に到着したようだ。 …

 【9】 米粉

「ワタシはキュウカでリョコウに来マシタ。 道がワカラナイので中国人かと思ってアナタに声をかけマシタ。 アナタがニホンジンとは驚きマシタ! ワタシは実は上海の日本企業で働いていマス。 ニホンジンは皆トモダチです!」 「はぁ・・・。」 土曜日の朝。 …

  インドのB級グルメ

これからインドに向かう人々のために。 そんなんどんだけおるんかわからんけど。 唐突に お勧め!!インドのB級グルメ!! ◆トマトスープ 壁があるレストランなら 大概メニューにはあるが ベストはやはり列車内。 15時間ほど夜行列車に乗っても 買えるチ…

 【8】 桂林到着

列車は1時間遅れて 20時20分に桂林に到着した。 ケツが痛い。 南寧から乗った列車のクラスは硬座。 文字通り最安値の硬い座席車両であった。 車内は禁煙のはずだが 車両の連結部では皆モクモクとタバコを吸っていた。 連結部は車内には入らないのだろう…

 【7】 青岛啤酒

客のフリをしてドアマンに扉を開けてもらい フロント前を颯爽と通り過ぎ トイレへ一直線。 ゆっくりと用を足したあと ソファでくつろぐブルジョワ達を尻目に 再びドアマンに扉を開けてもらい 何事も無かったかのように外へ。 4ツ星ホテルの綺麗なトイレで …

 【6】 南寧

朝9時、列車は少し遅れて南寧駅に到着した。 南寧は広西チワン族自治区の首府であり ベトナムとの玄関口でもある街。 民族も所謂中国人である漢族ではなく チワン族が約半数を占める自治区だ。 駅前には田舎のフェスティバルのように 多くのテントが並んで…

 【5】火車

列車内にはカノンが流れていた。 広州を発つまで あと10分。 広州2日目は 雨が降ったり止んだり そんな空模様だった。 三度の雨上がりの隙間を縫って 陳氏書院跡を後にした俺は 地下鉄を乗り継ぎ一旦広州駅へ。 駅舎の屋根に掲げられた電工掲示板で 列車…

  【4】安全地帯

懐には約5万円分の中国元。 思いのほか中国の物価が高そうだったので 飯を食った後、その辺にあった市銀のような銀行で両替を行なった。 両替には1時間ほどかかった。 中国人は心配性なのかもしれない。 多くの中国人と出会ったわけでもなく まだまだ2日…

  【3】広州

高く響くエンジン音。 鉄を叩く音。 鉄がぶつかる音。 鉄に穴をあける音。 男達の掛け声。 いわゆる工事の音だ。 それが窓越しに、意識越しにぼんやりと聞こえる。 朝9時。 眼を覚ました。 冷房と掛け布団のおかげで 驚くほどぐっすり眠れた気がする。 部屋…

  【2】第一夜

深夜23時。 未だ宿は無し。 予想より大分遅くなってしまった。 誤算だ。 さすがにこの時間に見知らぬ街、いや国を彷徨いたくない。 もうひとつの誤算はバスが到着した場所が 「意外に都市部」だったこと。 たくさんの車が行き交う大きな道路、その脇に並ぶ…

  【1】広州上陸

夢の中、聞き慣れない声が割り込んできて 眼を醒ました。 機内はわずかに揺れている。 離陸時に寝てしまう癖がある俺は どうやら今回も例に漏れず寝てしまったらしい。 前方が騒がしい。 眠りを妨げた声の主は彼のようだ。 40代ぐらいの男が席から立ち上が…

  帰国2

前回に続き 両広(広東省と広西チワン族自治区)で食ったものを。 陽朔ビール魚とナスの炒め物。 漓江で取れた新鮮な魚を ビールで煮込んだあとに味付けしたもの・・・と思われる。 淡白な白身に甘辛いたれが絡み ご飯がススム!! ナスの炒め物も絶品。 ニ…

  帰国

華南から 帰国しました。 旅行記は後々書くとして 取り急ぎ食ったものを。 1食目。広州の食堂にて。 地元民が集まるところにハズレなし。 メニュー見てもなんのこっちゃらさっぱり訳わからんうえに 言葉も全く通じず。 知ってる漢字のメニューを指差したら…

華南へ

今日から中国! では行ってきます。新曲つくってきまっせ!!

  第31章 オリッサの風

列車は1時間遅れて ブバネーシュワルの駅を出発した。 目的地はプリーだ。 プリーは聖なる河ガンガーの水が海へと還る場所。 ヒンドゥー「四大神領」のひとつ。 つまり、ヒンドゥー教徒が一生のうちに訪れるべき最も神聖な巡礼地、 神が住まう、インドに4…

  第30章 煙を吐いても ― in Bhubaneswar ―

掃除のおばちゃんが 竹ぼうきでせっせと床を掃除している。 所在無い我々はベッドの上。 天井ではプラスチック製のファンが不安定に空気をかき回している。 ここはホテルSWAGAT。 この宿に我々を連れてきたサイクルリクシャーのおっさんは 確かグッド…

  第29章 イースト・コースト・エクスプレス

列車はオリッサへと向かっている。 朝10時にハイデラバードを出発した列車は 明日朝7時25分に オリッサ州の州都ブバネーシュワルに到着予定だ。 7時25分だって・・・? 平気で1時間も2時間も列車が遅れるインドで 5分単位の調整がきくのか甚だ疑…

  インド写真

現在4度目のインド旅行記を連載中ですが ふと、3度目のインドが懐かしくなったので 写真をば。 そういえばここが一番高かった宿。 ひとり1000ルピー。 プール付き。 3度目のインド、2度目のゴアにて。 でもひとりエクストラベッド。 鉄道駅。 駅であ…

  第28章 数え切れぬ夜を越えて 僕らは強く 美しく ― in Hyderabad 6 ―

高地にあるおかげで 湿気はそれほどでもないハイデラバード。 それでも歩いていると Tシャツには汗が滲むし この街の喧騒は 祭りの夜に似ている。 つまりは絶好のビール日和。 チケットを予約しまくるという 大仕事を終えた我々は BARを探すことにした。…

  第27章 列車王 ― in Hyderabad 5 ―

「・・・やっぱりやばくない?」 宿に戻った我々の話題は もっぱら列車のチケットについて。 ウェイティングリスト 残り10。 出発は明日の朝。 明日、予約オフィスが動き出してから 出発までのわずか2時間ほどの間 その間にあと10人 キャンセル者が出る…

  第26章 ハイデラ散策 ― in Hyderabad 4 ―

遅めの朝だった。 暑い。 インドに来てからというもの 列車の中でしか目覚まし時計を使っていない。 自然と目が覚めるまで眠り 早く起きた者は 他の2人が目覚めるまで 本を読んだりタバコを吸ったり 時には散歩をしたりして過ごす。 それでも普段は8時くら…

  第25章 ビリヤーニー ― in Hyderabad 3 ―

チャール・ミーナール前のバザールは ムスリムの熱気に満ち溢れていた。 チャール・ミーナールを中心に 人やリクシャーが渦を巻き さらにその周りを数々の露店が取り囲む。 店先に吊るされたヤギ肉を始め ぶどう、スイカ、バナナ、イチジク、 ネックレス、時…

  第24章 ヒゲとカオスが手招きしてる ― in Hyderabad 2 ―

カオスだ。 ハイデラバードの道路は まさにカオスだ。 シャダブに向かうため 宿の前の小路でリクシャーを捕まえたのが2分前。 運転手は口から顎につながる見事なラウンドヒゲを生やした 30代ぐらいのインド人。 しかめっ面。 開襟シャツから顔を出す胸毛…

  第23章 ムスリムの街 ― in Hyderabad 1 ―

スィカンダラバードへ向かう 夜行列車。 斜向かいの席は とっても陽気な軍人達。 「チャイニーズ??」 「いや、ジャパニーズだ。」 「オー!ジャパニ!グッドグッド!」 喜ぶ軍人。 チャイニーズだとバッドだったのだろうか・・・。 肩から提げたマシンガン…

  第22章 列車を待つ間 ― in Bangalore 2 ―

カラリと晴れた空が 紫色に染みていく。 サモーサー サモーサーと繰り返しているうちに 陽はすっかり暮れてしまった。 駅の傍にある 安食堂が 色とりどりの電飾に光を点しだす。 サモーサー サモーサーと繰り返しているうちに 腹も減ってきた。 飯でも食おう…

  第21章 機械仕掛けの豆の町 ― in Bangalore 1 ―

リクシャーの後部座席。 隣にはナベタク。 列車の出発まであと3時間ぐらいだろうか。 夕暮れのバンガロール。 ――― バンガロールに到着したのは 朝8時だった。 駅に降り立ったその足で そのまま鉄道予約オフィスに行き ハイデラバード行きの列車チケットを…

  第20章 A/C 3-Tier Sleeper

12時55分トリヴァンドラム発 翌朝6時55分バンガロール着の バンガロール・エクスプレス。 所要18時間。 今日は一日列車の中で過ごすことになる。 遅めの朝食は エッグサンドイッチとラッシーで済まし 3番ホームで列車を待つ。 もちろん12時55…

  第19章 散歩、神様、シャア専用 ― in Trivandrum 2 ―

『パドマナーバスワーミ寺院まで1km』 看板にはそう書いてある。 「有名な寺院なんかな?」 「たぶんそうじゃないすか?」 「歩き方に載ってた気もする。」 「パドマナーバスワーミか。まずここをまっすぐ行って右だ。」 ?! 気がつくと 隣に太ったおっ…