2008-01-01から1年間の記事一覧

  第27章 Sound in the Night

聖なる河ガンガーが 夕焼けのオレンジを経て 全てを飲み込みそうな漆黒の闇に包まれた頃 ヨギ・ロッジの隣、モヌーの家で タブラとシタールによるコンサートが始まった。 タブラを叩くのはモヌー。 シタールを弾くのは立派なちょび髭を蓄えたモヌーの友人だ…

  第26章 ORS

経口補水塩というのをご存知だろうか。 水に塩と砂糖を混ぜたもので血液より浸透圧が低く ブドウ糖やらナトリウムやらの効果で 身体に水分として吸収されやすい魔法の液体である。 下痢、嘔吐、発熱による脱水症状の治療に用いられるらしい。 簡単に言えばポ…

  インド長距離バス、その地獄

インドで最もキツイもの それは深夜長距離バスではなかろうか。 いつの時期でも割かし列車が込んでいるインド 特に南インドでは 列車よりも予約が取りやすく なおかつ安い長距離バスを迂闊に利用してしまいがちである。 バスのクラスは デラックス、セミデラ…

  第25章 JAPANESE FOOD

日も暮れ 河からの風が心地よいものへ変わっていった。 ここヴァラナシの裏路地の店々は 雑踏と どこからか聞こえてくる笛や太鼓の音の合間で 白熱灯の光にほのかに照らされ その日本の縁日を思い出させる妙な懐かしさと幽幻さに 俺はいつも少なからず高揚感…

  ヒルトップ

なんやらインドのことばかり書くのもあれなんで 今日は久々近所の話を書こうかと。 俺の住んでいるアパートがある百草園の近くには 某C大というマンモス大学がある。 そう、智弁和歌山高校のエースとして甲子園出場、 プロ志望届けを出さず特待生としてC大…

  第24章 CASTE

しばらくはモヌーの家で 思い出話やこの4年間のお互いの暮らしについて語り合った。 1年程前には日本の青年バックパッカーが足繁くモヌーの家に通い モヌーにタブラを教わっていたらしい。 そのときモヌーが代わりに教わったのが日本の歌、BIGINの『…

  第23章 Beside Yogi Lodge

この季節のヴァラナシは 依然訪れたときよりも涼しい気がした。 気温は30度を超えているだろうが ガンガーからの風が心地よく 日本の初夏のやわらかさに似ていた。 屋上での昼食を終えた後 M上は再び町へ繰り出しが 俺は大事をとって部屋で休むことにした…

酒のつまみ6 ― 牡蠣の白ワイン蒸し ―

だんだんと冬が近づき 日に日に寒さが増して来ている。 俄然、寒いのより暑いほうが好きな俺だが 冬には冬の良さがある。 そう、広島が誇る珠玉の冬の味覚、牡蠣である。 記念すべき第6回目の『酒のつまみ』は ちょいとお洒落な『牡蠣の白ワイン蒸し』。 買…

  第22章 PUJA GUEST HOUSE

絶食の効果は絶大だ。 一時的に右腕は動かなくなったが 腹の調子はある程度治っている。 体はまだ重いが インドではそれが俺の普通の状態である。 冷たくなった右腕に 左手でマッサージを施し なんとか熱と感覚が戻ってきたところで M上が部屋に戻ってきた…

  酒のつまみ 5 ― 砂肝のオリーブオイル炒め と ツナ入りピカディーリョ ―

久々ひとりで晩酌をと思い立ち ちょこちょこ作ってみた。 最近、タパスの本を手に入れた。 タパスというのは簡単に言えばスペインのおつまみらしい。 あの国では夜でも昼でも朝でも バルと言われる飲み場にふらっと立ち寄り このタパスをつまみにビールやワ…

  第21章 VARANASI IN THE NIGHT

車はヴァラナシのゴードウリヤー交差点に到着し 我々はそこで車を降りた。 料金を支払うにあたって メガネの男は例のごとくお釣りが無いとか言い出しやがったが もう争う気力も無いほど体調は悪化の一途を辿っていた。 早く・・・早く宿を探さなければ。 時…

  雨が止んだら釣りに行こう

果たして東京湾に魚はいるのだろうか。 江戸前のネタというのは一種の都市伝説ではないだろうか。 最近こそご無沙汰だが 以前は川崎埠頭や大黒埠頭など何度か釣りに出かけたものだ。 しかし、早朝も昼も夜も 時には夜通し頑張ってみたが 釣れたのはセイゴと…

[日常] ガリット

本日、パソコンを立ち上げると ガリィィィィィィィ というディオみたいな音と共に ハードディスクが吹っ飛び 俺のパソコンは活動限界を迎え 完全停止してしまった。 今回は初の携帯からのブログ更新。 このバーガーパソコンを町田で購入してから5年 総務省…

  第20章 TO VARANASI  

空が次第に重くなっていく。 陽が落ちきる前にここから移動しなくては・・・。 確かここムガル・サラーイからヴァラナシへは リクシャーで行ける距離だとガヤーの駅員が言っていたはずだ。 しかし問題は・・・ 手持ちルピーがゼロ。 ドルも10ドル札が数枚…

  第19章 Crime and Punishment

「おい・・・。」 「おい・・・おい・・・起きろ・・・。」 蒸し暑い列車の中 M上の呼び声で目を覚ます。 どうやら間もなくムガル・サラーイに到着するらしい。 荷物置き場に横たわっていた俺は 自分自身を確かめるようにゆっくりと身体を起こした。 まだま…

  第18章 TRAIN for Mughal Sarai

列車が停車するやいなや 車内になだれ込むインド人。 この駅で降りる人々は 列車が完全に停車する前に 飛び降りきってしまっているものだから 停車した瞬間が 乗車の合図なのだ。 少しでも良い席を・・・ いや、もはや席は無い。 少しでも良い隙間を得るため…

  列島、南の果てへ ― その5 ―

最終日朝。 信じられないほど身体が重い・・・。 屋久島日帰り強行のツケが 肩、首、膝裏、ふくらはぎ、土踏まずと 訳の解からない部分に出ている。 あと、マゴメ(伏字無し)に蹴られたせいに違いない。 あいつそういえば「死ね」とかも言ってたな・・・。 …

  列島、南の果てへ ― その4 ―

屋久島滞在可能時間はあとわずか。 朝起きてから何も食わず 4時間もの間 森の中を彷徨い いい加減体力の限界だ。 存在するかどうかもわからない 俺の想像上の屋久島名物「屋久島丼」を食うため 峠を下って飯処「潮騒」に。 が、準備中。 行きは開店前で 帰…

  列島、南の果てへ ― その3 ―

屋久島での滞在可能時間わずか6時間。 無謀すぎる。 限られた時間の中で なんかそれっぽいものだけでも見ようということで 「もののけ姫」の舞台のモデルのひとつとなった 白谷雲水峡「もののけ姫の森」を目指す。 およそ2キロの登山道。 パンフレットによ…

  列島、南の果てへ ― その2 ―

2日目。 朝。 携帯のアラームとバイブ機能による机の振動の けたたましい音で目を覚ます。 6時だ。 屋久島行きの高速船『トッピー』が 朝7時40分に鹿児島を出発してしまう。 急いで準備をしないと・・・。 しかし、観光、もとい強化合宿で 遠く鹿児島に…

  列島、南の果てへ ― その1 ―

The NAF in the SweLLで ベースを弾くにあたり 足腰の強化は必須である。 季節は夏。 ベーシストとして さらなる飛躍を図るため 2泊3日の過酷な鹿児島キャンプへ出発!! バンドメンバーとではなく 職場の友人、H賀氏とIマイと共に羽田空港から いざ鹿児…

  第17章 TICKET TO RIDE

ガヤーの駅の切符売り場は 都市部や観光地ほど混雑してはいなかった。 順番を待っているのはせいぜい20人といったところか。 手には先ほどM上と作成した 希望する列車の番号、クラス、行き先などを書いた紙を握り締め 列の最後尾に並ぶ。 この列車のチケ…

  chapter13 インドネシアに向かうなら

最近、周りでインドネシアに行く という人間がちらほら増えてきている。 そこで インドネシアで使えるとも使えないとも知れない 小ネタをそこはかとなく・・・。 ◆ジャランジャラン 「道」「行程」などを意味するインドネシア語の「ジャラン」を 2つ繋げて…

  第16章 MONEY CHANGE 2  

インドで日本人はボラレやすい。 白いペンキを塗った石のタージマハル模型を 大理石だと偽られ20ドル(約2100円)からふっかけられるし (最終的に10ルピー(約30円)ぐらいまで値下げしてくる) 地元民で賑わう食堂では 誰ひとりメニューなんて見…

  酒のつまみ 4 ― インド風オムレツ ―

隣町の京王ストアで 青唐辛子が売ってたので思わずコイツを作っちまいました。 意外と西東京のダメスーパーでは 青唐辛子は取り扱ってないことが多く しし唐にハラペーニョペッパーを振りかけて それっぽい味を演出したりもしてたが やっぱり青唐辛子はいい…

  第15章 MONEY CHANGE  

ヨーグルトは身体に良いはずだ・・・。 特に胃腸に良いはずだ・・・。 ビフィズス菌が腸内で増えて 悪玉菌を倒すのだ・・・。 だから大丈夫なはずだ・・・。 長時間灼熱の太陽に晒されていようが ハエがたかっていようが 大丈夫なはずだ・・・。 そう自分に…

  魅惑のインドごはーーーーん!!(マジュニア風に) その2

惜しくも世界3大料理の栄誉を逃した感のある インド料理。(3大はフランス料理・中華料理・トルコ料理 らしい)〜中略〜 海原雄山(美味しんぼ)をして 点描派の画家、スーラの絵のようだと言わしめた・・・ 〜以下略〜そんなインド料理を たらたら紹介す…

  第14章 IN GAYA 2 

翌朝、ラナとの約束の時間より前に 我々は眼を覚ます。 ラナとの約束・・・そう今日は 山奥のラナの親戚がいる村に 鶏の首を絞めに行く日である。 ・・・・・・ 「おい、お前、鶏、絞めたい?」 「いや、別に。・・・いや、むしろ絞めたくねぇ。」 「しかも…

  魅惑のインドごはーーーーん!!(マジュニア風に)

惜しくも世界3大料理の栄誉を逃した感のある インド料理。(3大はフランス料理・中華料理・トルコ料理 らしい) が、良くも悪くも胃にガツンと来る濃厚な油!! 様々なスパイスが織り成す香りのハーモニー!! 辛味!酸味!甘味!苦味!あとようわからん味…

  第13章 RANA 2  

ブッダガヤーのはずれのラナの家で 気まずい時間を過ごした帰り道 我々を乗せたバイクは ふと駄々広い広場で停車した。 広場には白濁色のコンクリートの建物や かやぶき屋根のレンガの建物が並び 背の高い広葉樹も何本かそびえ立っている。 おもむろに2、3…