chapter13 インドネシアに向かうなら


最近、周りでインドネシアに行く
という人間がちらほら増えてきている。


そこで
インドネシアで使えるとも使えないとも知れない
小ネタをそこはかとなく・・・。


◆ジャランジャラン


「道」「行程」などを意味するインドネシア語の「ジャラン」を
2つ繋げてジャランジャラン。
「散歩」を意味するインドネシア語だ。


インドネシアに限らず
町を歩いていると「どこへ行くんだ!?ジャパニ!!?」と
声を掛けられることは多い。


そんなとき
指2本を両足に見立てて歩く仕草をしながら
「ジャランジャラン♪」と答えれば
面倒な客引きを簡単にあしらうことができるだけでなく
なぜか笑顔で「おお、そうかそうか!」と喜んでくれることも多い。
やはり英語より日本語より現地語のほうが強いのだ。


ちなみにリクルート社の旅行専門誌「じゃらん」は
この「道」というインドネシア語に由来するらしい。



ジャワティ


インドネシアの代表的な飲み物といえばジャワティー。
日本でも昔ブームになったが
インドネシアの蒸し暑い気候のなかで飲むとまた格別。
ビールやフレッシュジュースも良いが
やはり本場のジャワティーを。
ジャグの取り扱いには注意。



◆サンバル


唐辛子をベースとしたインドネシアの辛味調味料。
市販のものもあるがたいていの食堂で自家製のサンバルを置いてある。
ナシゴレンやミーゴレンに加えたり
サテのタレ代わりに使ったり汁そばの味を調えたりと
インドネシア料理全般と抜群の相性を誇る。
病み付きになるうまさ。
食堂のおっちゃんにサンバルも持ってきてと言うと
これまたジャランジャランの時と同じく喜び勇んで持ってくる。
店ごとの味の違いを比べるのもまた楽しい。
唐辛子の目が粗いタイプのものなんてもう最高だ。



◆I島殺人未遂事件の全貌


2度目のインドネシア上陸は
卒業旅行第2弾ということもあって
バリ島だけに絞った贅沢ツアーであった。
宿は海の傍なのにプールまで付いている
贅沢極まりないスーペリアクラス。
もちろんお湯のシャワー。


M上、K下部、I島、俺の4人は
ツインルームの部屋に2人ずつ泊まることに。
M上、K下部が同部屋
そしてI島と俺が同部屋だ。


事件は3日目の早朝に起こった。


前夜
我々は豪華なホテルに泊まりながらも
洗面所を使い
自分たちで洗濯をしていた。
貧乏旅行の癖が抜けていないのだ。


洗濯し終わった衣類は
持参しておいた洗濯紐に吊るして乾かすのだが
安宿ならまだしもこういった中高級ホテルでは
なかなか紐の端を固定するところが見つからない。
広い部屋をうろつき回った結果
洗濯紐の片方の端をベランダに通じるガラスドアのノブに巻きつけ
もう片方をその対角線上
I島のベッドの頭側上部にある
バリ島の守り神の装飾に巻きつけることで落ち着いた。
リゾートホテルともなると
ベッドもただの木の板ではなく
枕側の端に重厚な装飾が施されているのだ。
寝ている間もこの守り神が我々を守ってくれるに違いない。


その翌朝
I島より先に目を覚ました俺は
今日の空模様を確かめに
寝ぼけまなこでベランダに向かう。
時期は雨季。
旅行中の天気はどうしても気になるものだ。


そして不用意にガラスドアを開けた瞬間


ゴスッ。


「・・・がっ・・。」


背後に響く鈍い音とI島のうめき声。


あ。


ガラスドアに巻きつけられた紐に引っ張られ
ベッドから外れた鉄の守り神が
I島の頭に落下。


ピクリとも動かないI島。




洗濯には気をつけよう。



つづく