列島、南の果てへ ― その3 ―


屋久島での滞在可能時間わずか6時間。
無謀すぎる。


限られた時間の中で
なんかそれっぽいものだけでも見ようということで
もののけ姫」の舞台のモデルのひとつとなった
白谷雲水峡「もののけ姫の森」を目指す。


およそ2キロの登山道。
パンフレットによると往復2時間のコースらしい。



入り口からして山だ。
自然だ。
おそらくあの山のてっぺんあたりが
目的地だろう。



そして吊り橋。
ここを渡った辺りから
道が舗装されてなくなっていく。



苔河原。



杉だ。
縄文杉でなくとも
これだけでかい。


1時間山道を歩き続け
白谷小屋まで到着。
水飲み場で湧き水を飲む。
ここで水を飲まなかったら
大袈裟ではなくぶっ倒れていたかもしれん。
まさに山の神様がくれた水。



俺も含めあきらかに軽装過ぎる男たち。
山をなめているとしか思えん。



そしてついに「もののけ姫の森」に到着。
疲労と空腹と枯渇のなかで
感動もひとしおだった。




ここから来た道を引き返す。


・・・が


「あれ?」


「こんな道通ったっけ?」


「あれ?・・・いやなんか違うコースに入ってない?」


道を間違え「原生林コース」に突入。
パンフレットによると所要3時間。


「やばくね?帰りの便に間に合わなくなるぜ。」


「・・・いや引き返すよりひたすら進むべきでしょ?」


「早足なら間に合うべ?!」


2キロ追加。
しかも道はさらに険しくなっていく。
もう完璧山道。
スニーカーはつらい。



杉の中から。



川原でひとやすみ。



杉もいつかは倒れる。


足の裏やら何やら
体中に疲労が溜まってきたころ
やっとのことで入り口近くの舗装された道のところまで到着。
残りは500メートルぐらいだが・・・


「弥生杉・・・見たくね?」


「まじで?!間に合わなくね?!」


「走れば大丈夫だろ!?」


さらに1キロ追加。


ここへ来てダッシュ
ラストスパートだ。
入り口近くのため足場は木の板。
岩や木の根で無い分
かなり走りやすい。
山道でまったく機能しなかったコンバースオールスターが牙をむく。
ただこんな森の中で全力ダッシュしてるのは我々ぐらいのものだろう。



弥生杉。
待っててくれてありがとう。


結局朝飯抜きで4時間ほど山道を歩き続け
なんとか生還。



最後は火照った足を
渓流に浸しクールダウン。
真夏とは思えぬ水の冷たさ。
山の水に感謝。


さて屋久島滞在時間は残りわずか2時間弱。
空腹も限界だ。
飯じゃぁ!屋久島丼じゃぁぁ!!
Iマイの運転で山を降りる。


山を下る途中の車内でYSOがふと


「あれ?!」


「どした?」


「俺、服を川で洗って岩場に干したまんまだ!!」


「・・・でも取りに戻ってたらもう間に合わなくね?」


「だよな・・・。まいっか。」


何年か後
テレビを見ていたら
屋久島の特集が組まれているだろう。
山小屋のおじちゃんが満面の笑みで
屋久島の魅力を語る。
淡いピンクの
YSOのTシャツを着て。




つづく