インド旅行記 ― 第四部 ―

  第26章 ハイデラ散策 ― in Hyderabad 4 ―

遅めの朝だった。 暑い。 インドに来てからというもの 列車の中でしか目覚まし時計を使っていない。 自然と目が覚めるまで眠り 早く起きた者は 他の2人が目覚めるまで 本を読んだりタバコを吸ったり 時には散歩をしたりして過ごす。 それでも普段は8時くら…

  第25章 ビリヤーニー ― in Hyderabad 3 ―

チャール・ミーナール前のバザールは ムスリムの熱気に満ち溢れていた。 チャール・ミーナールを中心に 人やリクシャーが渦を巻き さらにその周りを数々の露店が取り囲む。 店先に吊るされたヤギ肉を始め ぶどう、スイカ、バナナ、イチジク、 ネックレス、時…

  第24章 ヒゲとカオスが手招きしてる ― in Hyderabad 2 ―

カオスだ。 ハイデラバードの道路は まさにカオスだ。 シャダブに向かうため 宿の前の小路でリクシャーを捕まえたのが2分前。 運転手は口から顎につながる見事なラウンドヒゲを生やした 30代ぐらいのインド人。 しかめっ面。 開襟シャツから顔を出す胸毛…

  第23章 ムスリムの街 ― in Hyderabad 1 ―

スィカンダラバードへ向かう 夜行列車。 斜向かいの席は とっても陽気な軍人達。 「チャイニーズ??」 「いや、ジャパニーズだ。」 「オー!ジャパニ!グッドグッド!」 喜ぶ軍人。 チャイニーズだとバッドだったのだろうか・・・。 肩から提げたマシンガン…

  第22章 列車を待つ間 ― in Bangalore 2 ―

カラリと晴れた空が 紫色に染みていく。 サモーサー サモーサーと繰り返しているうちに 陽はすっかり暮れてしまった。 駅の傍にある 安食堂が 色とりどりの電飾に光を点しだす。 サモーサー サモーサーと繰り返しているうちに 腹も減ってきた。 飯でも食おう…

  第21章 機械仕掛けの豆の町 ― in Bangalore 1 ―

リクシャーの後部座席。 隣にはナベタク。 列車の出発まであと3時間ぐらいだろうか。 夕暮れのバンガロール。 ――― バンガロールに到着したのは 朝8時だった。 駅に降り立ったその足で そのまま鉄道予約オフィスに行き ハイデラバード行きの列車チケットを…

  第20章 A/C 3-Tier Sleeper

12時55分トリヴァンドラム発 翌朝6時55分バンガロール着の バンガロール・エクスプレス。 所要18時間。 今日は一日列車の中で過ごすことになる。 遅めの朝食は エッグサンドイッチとラッシーで済まし 3番ホームで列車を待つ。 もちろん12時55…

  第19章 散歩、神様、シャア専用 ― in Trivandrum 2 ―

『パドマナーバスワーミ寺院まで1km』 看板にはそう書いてある。 「有名な寺院なんかな?」 「たぶんそうじゃないすか?」 「歩き方に載ってた気もする。」 「パドマナーバスワーミか。まずここをまっすぐ行って右だ。」 ?! 気がつくと 隣に太ったおっ…

  第18章 IWGP (Indian Water-shower Grand Prix)

コヴァーラムからトリヴァンドラムまでは バスに1時間も揺られていれば着いた。 冷房もリクライニングもない 走るサウナのようなバスだったが 料金はわずか9ルピー。 1ルピー2円だから 18円で次の町まで移動できたことになる。 1日の予算の中に 移動…

  第17章 あれはサマーリフレイン ― in Kovalam 2 ―  

ゴアでの楽しみ方は それこそ海と飯とビールという具合だったが ここコヴァーラムでは 散策という楽しみ方もあった。 海があり 砂浜があり メイン通りというには あまりに狭い道を挟んで レストランと宿が立ち並ぶコヴァーラム。 レストランと宿の隙間には …

  第16章 サンタナ ― in Kovalam 1 ―

どうやらリュックを枕に 眠ってしまったようだ。 眼を覚ますと そこはトリヴァンドラムのバスターミナルだった。 インド5日目にして早くも体調は下降気味。 激しく揺られたせいか 首も腰も痛い。 そして暑い。 とりあえずバスを降り 大きく伸びをする。 朝…

  第15章 出発の朝

早朝にコヴァーラムへ向かうバスは2本。 6時発のトリヴァンドラム経由コヴァーラム行き。 もうひとつは6時20分発のコヴァーラム直行便。 前者は所要3時間 後者は所要2時間。 つまり前者はコヴァーラムより北西の トリヴァンドラムまで行って引き返す…

  第14章 WCC ― in KANYAKUMARI 7 ―

クリケットはインドでは国民的なスポーツだ。 投手が投げたボールを 打者が打つ。 そのあと誰かしら走る。 点が入る。 野球と似ているが バットが船のオールのような形だったり 投球がワンバウンドしたり 打者が後ろに打ったり 1試合に100点以上入ったり…

  第13章 アナザーエディション ― in KANYAKUMARI 6 ―

良く良く話を聞いてみると タケは大学の後輩にあたるらしい。 本当に我々は「センパイ」だったわけだ。 「そういやセンパイらはバングラッシー飲んだことあります?」 バングラッシーとは バング、つまりガンジャ、所謂マリファナ入りラッシーである。 「俺…

  第12章 聖なるコモリで2人目 ― in KANYAKUMARI 5 ―

救命胴衣のオレンジ色に染まった船内で ハラハラしながら15分。 フェリーは白い波しぶきをあげながら ヴィヴェーカーナンダ岩に到着した。 ヴィヴェーカーナンダ岩も寺院のようなものらしく 我々は船着場の傍にあった小屋のインド人に靴を預ける。 さすが…

  第11章 海、その愛 ― in KANYAKUMARI 4 ―

朝、ひとり爽やかな目覚めを迎える。 インドに来てから初めてぐっすり眠れた夜。 アラーム無しで 目が覚めたときに起きる。 それがいい。 他の2人はまだ眠っている。 昨夜は「1ルピーは実は2円であることが判明バブル」で タカシと4人 エアコンの効いた…

  第10章 中国だけじゃない! ― in KANYAKUMARI 3 ―

しばらく旅の情報交換をした後 夕食を共にする約束をして タカシとは一旦別行動。 我々は夕陽を見るために外に出る。 サンセットポイント カニャークマリで一番夕陽が美しく見えるという場所までは 歩いて10分ほど。 時折物売りが でっかいほら貝を売りつ…

  第9章 次回、『ルピーの価値は』 ― in KANYAKUMARI 2 ―  

「おひとりですかー?」 上の階のベランダの 黒縁眼鏡の青年。 無精ひげを生やし 肌は良く日に焼けている。 「いえ、友人と3人で来てるんですよー。 そちらはおひとりですか?」 今回の旅で日本人に会ったのは初めてだ。 「えぇ、先週タイから飛行機で来ま…

  第8章 ホットシャワーから始まる一日

よく考えたら ここまで一度も宿で一泊していない。 一日目は深夜3時に宿に着いて その日のうちにチェンナイを発ち寝台車泊。 次の日もマドゥライに朝6時半に到着し その日の夜行列車で次の町へ。 ナゴルコイルを含めれば4つめの町。 ここカニャークマリで…

  第7章 マドゥライ、ナガルコイル、そして聖なる岬へ

「パウさん・・・パウさん・・・。 起きてください・・・パウさん・・・。」 ・・・・・ ん・・・なんだ・・・? ナベタクにゆすり起こされる。 目を開けるが視界はまだ暗い。 徐々に列車の音と揺れが意識の中に戻り 列車がまだ走っていることに気づく。 「…

  第6章 ザギンでシースーもいいけど明日はミーナークシーだから午前様前でケツカッチン ― in MADURAI 2 ―

大雑把なルートしか決めていない今回の旅で ぜひとも訪れたい町があった。 ヒンドゥー教の聖地のひとつ インド大陸最南端に位置する カニャークマリだ。 カニャークマリは アラビア海、インド洋、ベンガル湾という 3つの海が合する場所にあり 朝、ベンガル…

  第5章 魚の眼を持つ女神の町 ― in MADURAI 1 ―

宿選びは重要だ。 場所、設備、そして料金。 この3点は慎重に吟味したい。 正直、安全性やサービスは 良ければそれに越したことは無い程度。 朝6時半にマドゥライに到着した我々は かろうじて開いていた安食堂に入り チャイをすすりながら 今日一日のおお…

  第4章 チェンナイ滞在19時間 ― in CHENNAI 3 ―

「マドゥライ行き・・・。 今夜出発・・・っと。 よし・・・。 2人分は予約OKだ! もうひとりはウェイティングリストの226番だ。」 事も無げに言い放つ セントラル駅、外国人専用窓口の職員。 「今夜の列車で226人待ち?! そんなの乗れるの?」 な…

  第3章 勝利も敗北も無いまま

朝、他の二人より早く目が覚めた。 興奮のせいか暑さのせいか あまり深く眠れていない。 外は騒々しい。 駅が近いせいか列車の音が聞こえるし エンジンの音やけたたましいクラクションも聞こえる。 宿も宿で 年中改装工事をしているのか 怒鳴り声やコンクリ…

  第2章 エグモア、深夜  

深夜のチェンナイを滑走するタクシー。 速度メーターは壊れたままなのか ずっと10キロ付近をゆらゆらしたままだ。 ガソリンメーターもほぼゼロ。 窓からの風は確かにインドの匂いがする。 再びチェンナイに戻ってきた感慨に耽っているうちに タクシーは見…

  第1章 Dare the WHO?

チェンナイ。 深夜2時。 「ジャパニ、15ルピーだ!」 いや、わかってるよ。 つうかおまえ店員じゃねぇじゃん! 売店で水を買う俺の隣に陣取るインド人。 「ジャパニ!ペプシのほうがうまいぞ!」 余計なお世話だ! 俺は水が欲しいんだよ! この隣の男 空…