第10章 中国だけじゃない! ― in KANYAKUMARI 3 ―


しばらく旅の情報交換をした後
夕食を共にする約束をして
タカシとは一旦別行動。


我々は夕陽を見るために外に出る。


サンセットポイント
カニャークマリで一番夕陽が美しく見えるという場所までは
歩いて10分ほど。


時折物売りが
でっかいほら貝を売りつけようとしてくるが
都市部ほどしつこくは無い。


海沿いの道を歩く。
夕凪には程遠く
絶えず強い潮風が吹き込んでくる。
左手に広がる水平線。
昼間まさしくエメラルドグリーンだった海は
次第に闇に沈みつつあるようだ。


「・・・なんか曇ってない?」


「うーん・・・そうだねぇ。」


頭上の空はまだ晴れているが
水平線の上方には
海から立ち昇ったように霧のような雲が溢れ
空と海との境界をぼやつかせていた。


サンセットポイントに到着。


海に少し突き出た波止場のような場所には
たくさんのインド人達が背中を向けて立っていた。
皆、海を見ている。


夕陽は日の出のときより赤かったが
今にも雲の向こうに消えそうだ。


海の上に建てられた
らせん状の通路を持つ塔にも登ってみたが
当然それで空が晴れるわけも無く
太陽は海に落ちる前に
絹を広げたような薄い雲の中へ消えていった。


「あー、惜しいなぁ・・・。」


「まぁ明日があるでしょ!」


「タカシと飯でも食いに行こうぜ。」


陽が落ちると急に涼しくなってきた。
潮風に吹かれながら
もと来た道を戻る。


「ん?・・・あれ?!」


「どしたの?」


「えっと・・・あれミッ○ーじゃね?」


薄闇に浮かぶ安っぽいバルーン。
黒い頭に黒い耳。
刺さりそうなほど突き出た鼻。
眼・・・やけに寄り眼ですけど?!


ミッ○ーか?ミッ○ーだよな?!


その後ろには別のバルーン。
ヒルのくちばし。
コック帽?
赤い肌?!


眼が・・・四角?!!


ドナ○ドか?
メカなのか?!
メカドナ○ドなのか?!!


アトラクションは
すべり台
鉄棒
動物の置物。


園内には鉢植えの木と
神様の像が散乱している。


ディズ○ーランドぉ?!!


その隣には
水槽が3つだけ置かれた
建物があった。


こっちがディズ○ーシーか。








つづく