2012-01-01から1年間の記事一覧

  第55章 デリーへ向かう列車

19時15分。 ミッドナイトシヴァガンガーエクスプレス。 列車は定刻どおりにヴァラナシの駅を出発した。 終着駅はニューデリー。 ガタンガタンという列車の鼓動が 徐々に加速しだし 窓から風が入ってくる。 生ぬるい風。 季節は乾季から夏に向かっている…

  第54章 旅の終わり ― in Varanasi 10 ―

「おい、ジャパニ!布を買え! チープな店に連れてってヤル。 シルーク、バンダーナー、ルンギー、コシマキー なんでもあるゾ。」 歯茎を剥き出しにしたしかめっ面のインド人に突然腕を掴まれる。 ヴァラナシの路地をぶらぶらしていると良くあることだ。 そ…

  第53章 変化 ― in Varanasi 9 ―

「マサッカリーマサッカリー・・・♪」 ヴァラナシの裏路地。 前方から若者2人。 ポップなメロディーを口ずさみながら歩いている。 カルカッタのバーで流れていたあの曲だ。 「マサッカリー マサマサッカリー♪」 すれ違いざまに 続きのメロディーを歌ってみ…

  海外で読んだ本の話

普段、そんなに本を読むほうでもなく 最初のころの旅行(インド1、2回目およびインドネシア1、2回目)では 海外でガイドブック以外の本を読むなんて発想すら無かった。 ただ、最近ではわざわざ旅行にまで行って 本を読むというのは 実は結構贅沢な楽しみ…

  第52章 ハード・ボイルド・ワンダーランド ― in Varanasi 8 ―

「ヘイ!ジャパニ!!ホテェル?!」 「ノーセンキュー。もう宿はとってるよ。」 「オレのほうがグッドなホテルを知ってるゾ! ドコのホテルだ?!」 「モヌーファミリー!」 それを聞くと客引きの男は怪訝そうな顔で去っていく。 世界的旅行ガイドブックの…

  日記

ヒャッハー!スマフォ買ったった! 電話が架けられないタイプのやつです。 いま流行り?のネットはスマフォ、通話はウィルコムの2台持ち。 で、ナベタクが高円寺の居酒屋で働いていて 日頃常々言っていた三岳を仕入れてくれたらしいので 飲みに行ってうかれ…

  第51章 モヌー・ファミリー・ペイイング・ゲストハウス ― in Varanasi 7 ―

モヌー家の軒先では モヌーのオヤジが寝転がっていた。 4年前より髪の毛は禿げ上がり 身体もさらにまるまると膨らんでいる。 「ハロー、モヌーいる?」 オヤジは眠そうな目をして 寝転がったまま答える。 「モヌーはいま郵便局に行っている。 あと1時間で…

    その3 陽朔(ようさく・ヤンシャオ) ― 中国 ― 

南中国、広西チワン族自治区にある観光都市、桂林。 この町では、山水画のような風景が広がる漓江という大河を下る 漓江下りが観光のメインとなるが その河下りの終点にある町が陽朔だ。 バスで行くなら約1時間半。 陽朔は小さな町だ。 歩いて回れるくらい…

  Sダカネ少年とウサギのアイランド

なんかアーカイブからも削除されてるので 5年ぶりの再アップ!! しかも前・後編2週分の合併号!! ――――――――――――――――――――――――― Sダカネ少年とウサギのアイランド 前編 ※この物語はフィクションでありSダカネ少年は架空の人物です。 The NAF in the SweLL…

  第50章 ストロングマン ― in Varanasi 6 ―

「ゴー!!」 ウェイターの威勢の良い掛け声と共に勝負開始。 悪ガキVS俺。 インドと日本。 国家の威信をかけた 腕相撲勝負だ。 「ンーーーーーッ!」 悪ガキが歯茎をむき出しにして歯を食いしばる。 なるほど。 勝負を挑んでくるだけあって そこそこ腕力…

  第49章 レディ・ステディ・ゴー ― in Varanasi 5 ―

モダンヴィジョンゲストハウス。 プージャゲストハウスを出てオムゲストハウス、ヨギニレストハウスと回り ヴィシュヌレストハウスで満室だと門前払いされ クミコハウスを外観だけ眺め 最終的に今日の宿に決めたのがここだ。 アパートのような造りのかなり古…

  もう一度行きたい町  その2 ソロ ― インドネシア ―

ほとんど宿で寝込んでいた記憶しかない。 この町でO野峰、U君、俺の順に 次々と倒れていった。 前日、バンドゥンの駅前の安食堂で飲んだアイスコーラのせいだろう。 【アイスコーラ :インドネシア、ジャワ島の灼熱の日差しに晒され 握ると火傷するほどに…

  第48章 8年後のシルク売り ― in Varanasi 4 ―

午前8時起床。 カーテンを開け バルコニーへ出る。 柔らかい日差し。 今日は良く晴れている。 眼下に流れるガンガーには 既に数隻のボートが浮かんでいる。 ボートが起こすさざ波は陽の光を受け きらきらと銀色に輝く。 まだ熱されていない朝の風は 爽やか…