タイ旅行記?

  最終章 ― Rough Train ―

これは きつい。 列車がウドンターニーを出発してからずいぶんと経つ。 そして俺が目を瞑ってからも かなりの時間が経っているはずだ。 眠れない。 揺れがひどくて眠れない。 もし一旦、眼を開ければ 今夜は一睡も出来なくなってしまいそうだ。 列車が音を立…

  第9章 ― メコンの夕暮れ ―

しんどい。 予想以上にしんどい。 バスは15時過ぎにルーイのバスターミナルに到着した。 ここまで移動に移動を重ねて やっとのことで到着。 これならバンコクからの直行バスに乗ったほうが楽だったかもしれない。 それにしてもタイのバスはクラスや路線に…

  第8章 ― カイ・カタ ―

4日目の朝。 今日も汗だくで目が覚める。 シャワーを浴び、歯を磨き、服を着替え 朝食を採りに出かける。 当たり前だが外に出るとさらに暑い。 朝の光を浴びながら ウドン・ターニーのメイン通りをぶらぶらと歩く。 まだ8時前だというのに じりじりと焦が…

  第7章 ― ウドン・ターニー ―

ドアの脇の鉄の手すりに手をかけ 列車に乗り込む。 ディーゼル急行。 2等車両はエアコン付きと聞いていたが 車内はそんなに涼しいわけでもない。 わずかな冷風を掻き回すため 天井の扇風機が勢い良く回っている。 自分の席番号の席には 既にタイ人のおっち…

  第6章 ― 何も無い1日 ―

コラート鉄道駅。 午前9時。 駅の窓口には2人しか並んでいない。 これがインドや中国の駅だったら チケットを取るために優に1時間は並び続け 当然のように割り込むやつらにイライラしながら順番を待つことになるだろう。 駅自体も日本の田舎駅を思い起こ…

  第5章 ― コラート ―

「チケットを見せて。」 裏声だ。 格好からバスの乗務員であることはわかる。 膨張した身体。 凛々しく濃い眉毛。 髭を剃ったあとの残る口元に 赤紫色の口紅。 バスの乗務員がオカマ? いや、もしかしたら極めて男性的なおばちゃんかも知れん。 確認のため切…

  第4章 ― コラートへ ―

「バスステーションに行ってくれ。」 シー・アユタヤー通りでタクシーを捕まえた。 運転手はチャラい白メガネをかけた若い男。 「オーケー。」と愛想笑いを浮かべ 運転手はアクセルを踏む。 タクシーは走り出したが タクシーメーターはまったく動かない。 そ…

  第3章 ― 起き掛けの一杯 ―

暑い・・・。 まったくもって爽やかでない朝。 蒸し蒸しとうだるような暑さ。 汗だくで目を覚ます。 8時半。 エアコンからは埃っぽく生ぬるい風が出ている。 どうやら寝ぼけてエアコンを冷房ではなく 送風にセットしてしまったらしい。 エアコンの設定を冷…

  ― 第2章 ― カオサンロード

Yアサ氏は15分ほど遅れて 約束の場所に現れた。 あのあとタイの公衆電話に絶望しながら宿に戻り もう一度Gメールをチェックしたところ Yアサ氏から返信があったのだ。 カオサンロード入り口の バーガーキングの前、20時20分。 そう約束して宿を出た…

  ― 第1章 ― 箱と男

タウィーゲストハウスは 大勢のスペイン人たちで溢れていた。 男達は顔を白く塗りたくり 金髪のカツラをかぶって女装をし、 女達は彼らに服を貸してしまったのか、 ほとんど下着同然の姿で 肩を組んで歌を歌ったり 女装した男達をバカ笑いしながらカメラに収…