旅先での飯


アグラーのタージマハル、バンコクのワットアルン、龍田の棚田、ジャワ島にあるボロブドゥール遺跡群、巨済島の風の丘・・・。
思えば行こうと思えば行けた、いやむしろほぼ目の前まで行ったのに
なんだかんだで見逃したり行きそこねた名所、名跡は多い。
それはそれで大層な心残りではある。
タージマハルはおそらくA型にとってはこの世でベスト3に入るほど美しい建造物だろうし、
ボロブドゥールは現地小学生の遠足地になる前、
まだ、今世紀最大のミステリーと言われていた時代に行くことが出来たはずだった。


しかし、旅行中はそういうことが結構どうでも良くなってしまう。
美味い飯が食えて、そこそこの宿に泊まって、列車に乗って、
河か海が見られれば良い。


飯、重要(旅目的比25.0%)。


各国、1品限定、本当に美味かったものを。
店の紹介もするので食べログ風。
食べログ.comの評価(点数)は、多くの信頼できる口コミが集まるほどお店(商品)の評価へ与える影響が大きくなるような、独自のロジックで算出されております。
そのお店に投稿された口コミの単純平均にはなっておりませんので、何卒、ご了承下さい。」
食べログと同じく、もちろん個人の主観的なご感想。


■マトン・ビリヤーニー(シャダブスペシャル)【インド:ハイデラバード:ホテル・シャダブ】
ビリヤーニーと言えばハイデラバーディー・ビリヤーニー。
「言い伝えによると、その昔ニザーム家には、糖尿病を患っていたために、大好物のマトン・ビリヤーニーを、一日にスプーン2杯だけ食することを侍従医から許されていた藩王がおり、乗せ固められる最大量のビリヤーニーをスプーンに2杯だけ懸命に盛り、とても藩王とは思えないような作法で無我夢中で食したと言われる。」(Wikipediaより)
インドでは羊もヤギもマトンと呼ぶのでどちらの肉か定かではないが
とにかくジューシーでこってりとした肉がごろごろと入ったインド風炊き込みごはん。
スパイシーな味付けがそれをしつこくさせないし
さっぱりとしたライタ(ヨーグルトサラダ?)との相性も抜群。
特にここで初めて食った黒ゴマのライタは
香ばしくもさっぱりとしていてビリヤーニーの味をさらに引き立てる。
1回目のインドでビリヤーニーなんてまずいものは二度と食うか!と
思っていたものを、見事に覆した一品。


■バーミー・ナーム【タイ:各地(特に東北が良い):屋台】
タイでは屋台で麺類を食うとき
麺の種類とスープの有無、具を選ぶ。
バーミーは中華麺風の小麦粉麺。
ナームはスープ有り。
具に関しては注文するとおっちゃんやおばちゃんが
タイ語でなにやら聞いてくるので
うんうんと頷いておけば、だいたい良いのが来る。
二日酔いの朝などに食ったら実に美味かった。
味付けは薄めで、
テーブルに置いてあるナンプラー、乾燥唐辛子、唐辛子酢、砂糖で
自分で味を調整できる。
スープがしっかりしているので
適当に調整しても美味い。
ナンプラーの臭みもパクチーの香りが
見事に打ち消してくれる。
意外と唐辛子酢と砂糖の相性も良い。
特に東北地方では
鶏のチャーシューのようなものが具で付いてきて(東北は焼き鳥が名物)
ちょっと得した気になる。


サムゲタン【韓国:海雲台(ヘウンデ):ソムンナサムゲタン
ご存知、鶏一羽を使い、もち米などを入れて煮込んだ料理。
ベタだがこれは美味い。
ムンナサムゲタンの漢(韓)方サムゲタン
健康に良さげな生薬をたっぷり使った疲れた身体に染み渡る一品。
まず、スープが美味い。
頬が痙攣するような感じ。
滋味溢れる味とはこういうものなのかとも思う。
鶏肉はこんなに美味いものなのだとも再認識させてくれる。
残念ながらビールとはあまり相性が良くないが。


■田螺醸【中国:陽朔(ヤンシャオ):店名不明】
朝飯なら桂林ビーフンだが、夜ならこっち。
ビールとの相性が抜群。
陽朔の名物はビール魚という川魚をビールと香辛料で煮込んだ料理と
田螺(タニシ)。
タニシはそのままだと泥臭さも残ることがあるが
田螺醸は一度殻から身を取り出して
豚ひき肉、ミントなどと混ぜ、餡を作る。
その餡を殻にもう一度詰め、にんにく、唐辛子、中国っぽい調味料と共に炒める。
刻んだタニシの歯ごたえが心地よく
噛み締める度に甘辛い旨みが溢れ
ミントのおかげか後味もすっきり。
たまたま入った店が良かったのか
それともこの料理自体完成度が高いのか。
とにもかくにもただ単純に美味い料理。
白飯との相性も抜群に良い。


■ロブスター【インドネシア:ジンバラン(バリ島):イカンバカールの店のうちひとつ】
ロブスターは確かに大味である。
だが海外で、しかもビーチでわいわい食べるのは格別。
もちろん合わせるのはビール。
砂の上のテーブルで、
事実がどうであろうと獲れたてだと思われるシーフードを食す。
これが最高に美味い。
しかも楽しい。
ジンバランは観光客向けでボラれたり、
悪い品質のものを出されたりすることも多いと聞くが
そこは、交渉次第。いや、むしろ気分次第。
真昼間っからビールを飲みながらだらだらやるのも良いが
夕焼けのあとに涼やかな波の音を聞きながら
海辺で酔っ払うというのもなかなか良さげだ。