こらとんこつばいっ!! その5 ― 絶品おじやが出来るまで ―


正直、水炊きをなめていました。
だし汁で鶏肉を煮たものなんて
五島のサバや呼子イカに比べたら
まったくもって無意味だと思っていました。
しかし出会ってしまったのです。
博多区対馬小路の「水炊き 長野」にて。
おそらく
博多で一番うまいのは
水炊きです。


お通しで酢モツが出てきます。
これだけで酒は進むのですが
目の前の鍋はぐつぐつと煮立ち始めてきます。


まずはその煮立ったスープを
陶器のコップに注ぎ
わけぎを散らしていただきます。


まずこれがうまい。
抜群にうまい。
濃厚な鶏のだしが
上品に香る。
下手なラーメンスープより全然うまい。
別途、塩が付いていますが
塩を入れるのがもったいないくらいの味。


スープを味わった後は
前菜で骨付きもも肉。
次いで四つ身、レバー、ミンチ、上モツを投入。
ぷりぷり、さくさく、とろとろと
様々な鶏の食感と
ジューシーでさっぱりとした鶏の肉汁を
紅葉卸とわけぎを加えた甘めのポン酢と共にいただきます。


鶏をひととおり味わった後は
ネギ、キャベツ、春菊、豆腐、お麩を鍋に加えます。


仲居風のおばちゃんに
芯のたっぷりついたキャベツをがばがば入れられたときは
こんちくしょう!と思いましたが
このキャベツもまたうまい。
筋っぽさはまるで無く
さくさくとした芯の食感が実に軽快。
だしをたっぷり吸ったお麩も
海原が云うところの至高の味。


ここでまた
スープをいただきます。


野菜を入れたあとは
また違ったうまさのスープに。
鶏のうまみと
野菜の甘みの
二層構造になっております。


鍋の中身をたらふく平らげれば
最後に待つのはおじや。


だし汁にごはんを入れ
溶き卵を入れ
丁寧に混ぜ合わせた後に
わけぎを散らして完成。


おじや自体
インドでトマトとスパイス入りOJIYAを食って以来
あまり好きではなかったのですが
このおじやを食って
おじや感が変わりました。
山岡が云うところの究極の味。



ビールを何本か空けて
冷酒の小瓶を何本か空けて
それでひとり3000円。
この満足感は
久しく無い。
もう一度言うと
おそらく
博多で一番うまいのは
水炊きです。