多摩のインドカレー屋

多摩センターにインド料理屋ができた。


多摩にインド料理屋は他にもあるが
駅前のショッピングビルに出来たことはでかい。


最近はバイトの昼食時間に
日替わりカレーランチをライスのみ(ナン抜き)で頼み
シュガースティックを1本多めにもらって
食後に甘めのチャイを飲むのが日課になりつつある。


今日の日替わりカレーはエッグカレーだ。


いつものようにライス山盛りで運ばれてくる。
完全にカレーが先に尽き
ライスがあまる分量だ。


しかし
インド経験があり
カレーのなんたるかを四六時中考えている
俺にとっては
ライスとカレーをちょうど同時に食べきることは
パン工場でチョコチップパンを4個と5個に仕分けるより
簡単な作業であった。


心の片隅では
いや〜これ絶対カレー足りねぇよ〜〜・・・
ライスばっかじゃねぇかこれ・・・
と思わないではなかったが
インドでもチャパティ、ナーン、ドーサというものを極力頼まず
ライスばかりをオーダーしてきた俺の経験とプライドが
ライスを余らせることを許さない。


今回も
テーブル上で繰り広げられる
緻密な計算を基に
見事カレーを完食。
想定外のライスの多さから
わずかながらライスが余ってしまったが
これはほぼ一口。
まぁ許容範囲だ。
自分を褒めてやっても良いだろう。


さて
最後の一口のライスを前にし
ふと目線を遠くにやると
そこには無残にも残された多量のライスと空のカレー皿があった。


向かいの席に座っていた同僚のM本が
うっかりカレーを先に食いきってしまったのだ。


・・・こいつこの前もライスが余ってたじゃねぇか。
学習しないやつだ。
四六時中カレーのことを考えシミュレーションしてないから
そんな結果になるのだ。


M本が無残に余ったライスを前に
またやってしまった的な困った顔をしていると
ふらふらと店員のインド人が近づいてきた。


「チョトマッテネ。」
そう一言声をかけ
テーブルの上のM本の空カレー皿を持って
厨房に消えていくインド人。


程なく戻ってきたインド人が抱えていたのは


カレー。


「ハイドーゾ。」


もう一杯キターーーーーー!!?


もちろんもう一杯分の料金は取られたりしない。


そうか!
インドでも頼んでもいないのに
食事中ライスやカレーが追加されたりしていた。


客に自分が作ったものを
腹一杯まで食べさせるのが
インドの料理人の美学だったのだ。


「あの〜、M本そのカレーちょっともらっていい?」


「あ、いっすよ〜。」


M本に追加分のカレーを少し分けてもらい
俺も最後の一口を完食。



・・・今度からはライスを余らせるようにしよう・・・。