春といえば

いつの間にか春も過ぎつつ・・・。
気がつけば桜の花も散り
瑞々しい葉桜が
多摩の乞田川沿いに見られるようになってきた。


さて春といえば「かっぽん」という植物はご存知だろうか?
俺にとって「春」といえば「かっぽん」であった。
実にThe NAF in the SweLLと縁深い植物である。


幼少時代、春休みになれば
俺とNAFのヴォーカルりょうすけは
安芸津町随一の花見スポット、正福寺山に通っていた。
桜を見るためではない。
「冒険」と「わらび」獲得のためだ。


「冒険」をするにしても
「わらび」を探すにしても
やはり腹が減る。
もちろんコンビニなどあんな田舎町にない時代なので
もっぱら現地調達だ。


その中で最も
いやむしろ唯一
食料として活躍していたのが「かっぽん」であった。


「かっぽん」・・・おそらく正式名ではないだろう。
見た目はただの茎の太い植物である。
アスパラガスに似た感じだ。
茎を根元のほうから思い切って折ると
カッポンッという音がする。
その音がまだ判断力の弱かった我々にとって
それが「かっぽん」(=食える)であることを示す手がかりであった。


根元近くから茎を折ったあとは
皮をむく。
皮はわりと簡単に向ける。
そして皮をむいた後
むき出しになった茎に塩を振り
かじりつく。


味はほぼない・・・。
ただ酸っぱさは明確に感じ取ることが出来る。
今思えばあれは「かっぽん」を味わっていたのではなく
「かっぽん」の酸っぱさを肴に「塩」を味わっていたんじゃないだろうか・・・。


ともかく我々は
卓上塩を持ち歩き
「かっぽん」を見つけては折り
うまいうまいと言いながら食っていた。


春といえば「かっぽん」。
今度の休みに山へ探しに行ってはどうだろうか。




たぶん今食うとまずいけど。