第39章 FROM VARANASI TO DELHI ― IN THE AFTERNOON ―


ヴァラナシ発デリー行き。
今回最後の列車移動だ。
やはり当然のように列車は遅れてホームにやってきて
ゆっくりとデリーに向けて発車した。


今回予約した席は二等寝台車。
昼間の間は3、4人がけの席に向かい合って座り
夜になるとその座席たちがベッドに変わる。
もちろんその3、4人がけの席に座っているのは
我々だけでなく
旅行中、帰省中のインド人だったり
ヨーロッパ系のバックパッカーだったり
そういった人々とのコミュニケーションも楽しかったりする。
窓からは心地よい風が入ってくるし
窓の外に広がる自然の風景や人々の生活を
ゆったり眺められるのも
大きな醍醐味だ。
そして何度も言うがトイレ付き!!
列車移動最高!!



インドの列車は
良くわからないところで減速し
駅でもないところで
何十分も止まる。


日本の電車も時間調整で減速したり
信号待ちで止まったりすることがあるが
やはりそれとはスケールが違う。



その事件も列車の減速中に起こった。
歩いている速度と同じぐらいまで減速して走る列車。
ゆっくりと流れる窓の外の景色。
・・・そしてそのゆったりとした時間を一瞬で切り裂く悲鳴。


「キャーーーーーー!!!」


「ワァァーーーーッッット?!!」


「オ゛ォォォォォォーーーーーーーマイ・・・ガッ!!!」


なにやら前のほうの席で外国人の男女が大騒ぎだ。


なんだなんだ??うわっ!?


座席から体を起こし見てみると
外国人乗客の顔やらシャツやらが
真っ赤に染まっている。


一瞬ぎょっとしたがどうやら血ではないようだ。


「ハローー!!キャハハハハ!!」
「ヤーーーーーー!!!」
列車の外から笑い声の混じった歓声が聞こえる。
窓から顔を出し前方に目をやると
子供達が大笑いしながらこっちを指差している。
もう一方の手には・・・小袋!?


しまった!ホーリーか!!


子供達はその色水の入った小袋を
次々と列車に向かって投げつける!!


バシャッ!!


「キャーーーーーー!!!」


「シッッ!!ファッキンホーリーッ!!」


同じ車両でまたも被害者が!!
列車内は大パニックだ。


「やべぇ目が合った!窓閉めろ!!」
M上の声が飛ぶ。


・・・


「キャハハハハ!ハッピーホーリーーーーー!!」
窓の外
相変わらず大笑いしている子供達が過ぎていく。


・・・なんとかやり過ごせたみたいだ。


赤や青やオレンジ・・・。
春の到来を祝い
様々な色の粉や色水をぶつける
インド全土をあげての熱狂的な祭り
ホーリー


本番前日なのにインド人テンション上がりすぎなんですけど。





      つづく