第15章 MEET THE BISCUIT OYAJI


バンガロール2日目。
一夜明け我々は朝食をとりにレストランへ。
俺はバルフィという菓子とチャイで優雅な朝食をとる。
今日もお釣りが無いらしい。
お釣りの小銭分はまたアメだった。
日本ならブチギレルとこだがインドではアメはなかなかありがたい。
辛くなく、安全で、保存が利き、糖分も摂れる。
旅のお供にもってこい(?)だ。


さて朝食をとった後、我々は次の町に移動する為バススタンドに向かった。
バススタンドも鉄道駅と同じくゴミゴミとしている。
人で溢れかえり
張り紙や掲示板なども
ヒンドゥー語だかタミール語だかで書かれている為読めやしない。


インド初のバス予約ということで隅の方でガイドブックを確認していると
何者かに声をかけられる。


また客引きか?と思いつつ振り返ると
なかなか立派な口髭を生やした鋭い眼光のオヤジが立っている。
そのオヤジが
「なんだ、お前らどうした?なにか困ったことがあったか?俺に聞け!俺に!」
みたいなことを言っていたので
チケットの取り方を教えてもらい
我々は次の目的地ゴアまでのチケットを手に入れた。



チケット売り場から元の場所に戻るとさっきのオヤジがまだ立っている。
少し話をしてみると
そのオヤジは現在ゴア在住。
以前に日本で働いていたので日本人には親切にしたいんだそうだ。
日本での職業は横浜で船乗り。



横浜で船乗り?



その後も旅の途中で何人か、日本で昔働いていたというインド人に出会ったが
当時の職業を尋ねると決まってひとつの答が返ってきた。


「横浜で船乗り。」



とにもかくにもこれが、後に我々に
ビスケットオヤジと呼ばれることになる男との出会いであった。



このいかにも胡散臭いビスケットオヤジ(仮)も同じバスでゴアに向かうらしい。
我々は一旦ビスケットオヤジ(仮)に別れを告げバススタンドを後にした。



さてバスの出発までにはまだたっぷり時間がある。


我々は50メートル先から声をかけてきたガッツ溢れるリクシャーワーラーと交渉し
3時間100ルピー程でリクシャーチャーター贅沢ツアーを決行した。
我々を捕まえるときのガッツはどこに行ったのか
明らかに案内中だるそうなリクシャーワーラーと一緒に
バンガロールの観光地をチョコチョコ回る。
そしてそこそこに観光を終え
我々はバススタンドに戻った。




バススタンドに我々の乗るバスが入ってくる。


ビスケットオヤジ(仮)との再会。



役者はそろった。


インド、地獄の深夜バスツアーのスタートである。




    つづく