雑記


例えば、昔は旅先で写真を撮ること自体が
好きではなかった。
写真では絶対に切り取れない時間が
そこにはある、とかいう中2病的発想だ。


それが、歳を重ねて
あるときからしっかりと
写真を撮るようになる。
ムービーも撮るようになる。
もう2度とここには来ないだろうと
そんな危機感を抱くからかもしれない。


日常のなかで
ふとそんな写真たちを見返す。
懐かしさがあったり、時には興奮を覚えることもある。


そこで考える。


もう一度行きたいか。


辛い、と言うほどでもないかもしれないが
しんどかった、という思い出は山ほどあり、
写真に対する楽しい思い出と共に蘇る。


それでも、行きたいか。


今の体力で、今の好奇心で
今の自分を取り巻く環境で
そこにもう一度行きたいか。


それでも行きたいなら
行くべきだと思う。


当時の感動や興奮に
もう一度出会うことは二度とない。


ゴアで最高の夕陽は
雨季の真っ只中、たまたま晴れた夕暮れにしか見れない。
ハンピのアクセスの悪さは異常。
ハイデラバードも地味に行きにくい。
ヴァラナシも、デリーのメインバザールも
チェンナイのケネットレーンも、良くも悪くも変わってしまった。
現地のやんちゃ坊主に絡まれるのはもう真っ平御免だ。
現地の少年、青年と意気投合することももうないだろう。
水シャワーしんどい。
2等列車はもう無理。
深夜バスはもっと無理。


旅のスタイルは年々変わっていく。
年々腰をあげるのが億劫になる。


それでもたぶんビールはうまい。
ペプシは裏切らない。
列車と海と夕陽とスパイス。
日々、迷って、
日々、あきらめて
それでも酔っぱらったときに
たまの連休に合わせてチケットを買ってしまうのかもしれない。