第4章 旅の始まり


朝9時半に目覚ましが鳴り
目を覚ました。


サンダルを突っかけ
寝ぼけまなこでフロントに向かい
1泊延長を申し出る。


今日の夜にデリーを発つにしろ
明日、発つにしろ
宿の確保は必要だ。


部屋に戻ると
F田氏も目を覚ましていた。


聞けば、インドの街中で俺と一緒に
美人のインド人女性を守りながら
サバイバルゲームを真剣にやる
という謎の夢を見たらしい。


宿を延長したことを伝え
屋上のレストランで朝食を採ることにする。


身支度を整え
部屋を出て
エレベーターに乗る。


屋上のボタンを押し
エレベーターを閉めようと
ボタンを押す。


ウォーーーーーン!!


「え?なになに?」
突然、サイレンのような音が鳴り響く。


「・・・これ、閉まるボタンじゃねぇじゃん!」


エレベーターにはいわゆる「開けたままにする」ボタンが付いており
その隣がなぜか「ベル」ボタン。
そもそも「閉める」ボタンが無い。
あまりインドでエレベーターに乗ることは無いが
今はこういう仕様なんだろうか。


しかも、宿中に鳴り響くような大きな音だったにも関わらず
誰も来ない。
ざわついている様子も無い。
警報の意味無し。



屋上に到着すると
目がくらむような眩しさが待っていた。
強烈な日差し。
今は雨季真っ只中、天気予報では雷雨のはずが
空には雲ひとつない。
眼下にデリーの町並みが広がる。
ラクションやエンジンの音が聞こえる。
インドの朝。


テーブルに着き
F田氏はインディアンブレックファストセット、
俺はオムレツ、トマトスープ、バナナカード、チャイを注文。
構成比が白身9黄身1の怪しいオムレツだったが
たっぷり、ゆっくりと朝食を楽しんだ。


食後に熱いチャイをすすりながら
我々は次の目的地を決めた。
西インド、砂漠の都、ジャイサルメール



チケットを取るために駅に向かうことにする。
宿の1階で両替を済ませ
ロビーのドアを開ける。


もわっとした熱気。
当然そこにはデリーの町並みが広がっていた。
メインバザール。
インド人が行き交っている。
リクシャーが行き交っている。
牛車が通り過ぎる。
砂埃が舞う。
先ほどにも増して強烈な日差し。
雑踏の音。
独特の匂い。
地面が熱を帯びている。
5度目のインドが始まる。