もう一度行きたい町  その1 ゴア ― インド ―


ゴアはインド西部にある町だ。
かつては黄金のゴアと呼ばれたその町は
大航海時代リスボンを模し
ポルトガル人によって造られたらしい。


ゴアの何が良いかっていうと
インドにあってインドらしからぬところである。
ハイデラバードやアウランガーバードといったムスリムの町が
ヒンドゥーの町とはまた違った
なにか混沌とした熱気を帯びていたように
ポルトガル領であり、クリスチャンの町でもあるゴアもまた
教会と、西欧的な町並みと、「楽園」としてのビーチを持っていた。



海辺の安宿に泊まり
朝、気温が上がりだすとともに起床。
1杯のチャイを飲んだ後は
砂浜に飛び出して
そのままひたすらただ泳ぐ。
疲れたらビーチチェアに横たわり
ビールでも飲みながらのんびり。
ビーチで寛ぐ野良牛を見れるのも
ゴアならではだろう。


泳ぐのに飽きたら
わずか数ルピーのバス代を払って
近郊の町を回るのもアリだ。
窓全開のローカルバスに乗り
あたり一面の田園風景を眺めながら
塩気の無い風に吹かれるのもまた良い。
オールド・ゴアにあるボム・ジェズ教会の大聖堂は
その華麗さに目を見張るものがあるし
10年に一度はザビエルの遺体も見れるらしい。


夜はもちろんオープンエアーのレストランで
シーフード三昧。
いわゆるインド風の味付けというよりは
香ばしく辛く、いやもうビールと最高の相性。
バナナの葉で包んで蒸し焼きにした
漁れたての魚の味は言うまでも無く
イカもエビもなんせすぐそこの海で漁れたもんだから
ぷりぷりさくさくじゅわじゅわとうまいうまい。
祭りの日のような笑い声とざわめきも収まり
夜も更けだしたころ
バックで流れるBGMは
もちろん古臭いアメリカンロックと波の音。


夕飯のあとは心地よい潮風に吹かれながら
ぶらぶら散歩。
最近増えてきたオシャレなBARにふらっと寄って
1杯やるのも良いだろう。
ジントニックなんて難しいものさえ頼まなければ
割と適正価格で美味しいお酒が飲める。


インドは正直疲れる。
インドの喧騒に
インドの交渉に
インドの聖と俗に
そしてインド人の濃さに疲れた旅行者達は
みなネパールに非難するらしいが
ゴアという選択肢も、実はある。
 

なにより
あんなに美しい夕陽を
俺は他に見たことが無い。