雨中の白昼夢

ひさびさ昼寝をしていたら
変な夢を見た。


実にくだらない夢だ。


――――夢の中で
これが夢であることはわかっていた。
ただし、4年前に見た夢の続きで
その夢の中の世界はパラレルワールド的に
4年経過していて
そこの王様を助け出す俺という設定であった。


王様が閉じ込められた部屋の扉を塞いでいる
重いウッドベースをどかし
王様を助け出したまでは良かったが
不覚にも腹が減っていた俺は
傍にあったゼリー型芳香剤を
文字通りゼリーと勘違いして一口かじってしまう。


やべ!!これ芳香剤じゃねぇか!?
・・・あれ?でも意外とうまいなぁ
と感心していると
目の前を4年前に出会った2人の青年が通り過ぎていく。
「あ、すいません!!4年前にこの夢で逢いましたよね?!
 憶えてますか??」
と声をかけるも
当然、不審がられてそそくさと逃げられてしまう。


「しまった!!4年前と同じように
 あの2人にラッパを吹いてもらわないと
 この世界を救う曲が完成しない!!」


俺は急いでその2人を追いかけているうちに
小高い丘の上にある巨大な施設に迷い込んでしまった。


施設は世界各国の風景を模したアトラクションだった。
その5階はオーストラリア、スペイン、インドのゾーンになっている。
各国にはそれぞれクリアしていたときの景品が用意してあり
オーストラリアは鋼鉄の剣
スペインはコンバース・オールスター
そして、インドはスパゲッティ・ミートソースだった。


そういえば今日は芳香剤しか食ってないな〜・・・
俺はインドを選ぶことにした。


天井に設置された滑車から垂れたロープに捕まり
イミテーションの海を越えていくと
そこはインドの商店街だった。


商店街で売られているものは
ステッキばかり。
木のもの、鉄のもの、プラスチックのもの、エメラルドのもの
など様々なステッキが売られていたが
客はおじいさんばかりだった。


ステッキを眺めていると
場内アナウンスでインド風の曲が流れてきた。
続いて解説者の声も聞こえてくる。
「うーーん、いい曲ですけどちょっと位相があってないですねぇ。
 あ、『位相』なんて言葉は使うべきじゃないか。」


それに応える実況の男
「それは、インド的に、ということですか?」


返す解説者
「いゃいゃ『位相』なんて言葉は
 音楽関係者にしかわからんでしょ、ということです。」


「はぁ、なるほど。」


―――――そこで目が覚めた。


目が覚めると腹が減っていたので
飯を買いに行った。


もちろん今日の夕飯は
スパゲッティ・ミートソースだ。