第3章 IN DELHI AGAIN  


今回選んだ航空会社は
チャイナエアライン
成田を夕方出発した飛行機は
陽が落ちきった頃
台北に到着した。


ここでデリー行きの飛行機に乗り換える。


乗り換え待ちはわずか2時間ほど。
機内サービスはマレーシア航空やシンガポール航空ほどではないが
前回のような
クアラルンプールで19時間乗り換え待ちの罠が無いぶん
非常に快適だ。


ヤニと台湾の匂いが混じった
薄暗い喫煙室で一服し
探索するにはあまりにも物足りない
空港内をうろうろしているうちに
出発の時間になった。


ここから飛行機は
デリーへ向かう。


前回初っ端から体調を崩した原因のひとつに
機内でのタイガービール飲み過ぎがあったのではないかと考えながらも
性懲りも無くチンタオビールをがぶ飲み。
酔っ払って眠くなって寝る。
喉が渇いて起きる。
またビールを飲む。
という怠惰な生活を機内で繰り広げているうちに
飛行機はデリー、インディラ・ガンジー空港へ到着した。


入国審査の時に
「時計を俺のと交換しないか?」
とお決まりの商談を持ちかけられた以外は
いたってスムーズに入国手続き完了。


我々はついに
2度目のインド上陸を果たしたのだ。



さて


深夜である。



「どうする?」


今回も1泊目の宿はもちろん
ヴァラナシ以外は目的地すらはっきり決めていない。


「ひとまず外出てタバコでも吸いながら考えようぜ。」


我々はひとまず空港の外に出てみることにした。


デリーの夜風は冷たかった。
やはりこの時期の北インドの夜は
肌寒いくらいの気温のようだ。


が、すぐに熱気に囲まれる。


「ヘイ!!コリア?!ジャパン?!
 タクシー?!」


「ヘイ!!ホテェル?!!チープホテェル!!ノータカイ!!」


「ハローマイフレンド!!コンノートプレイス!?」


いったいこいつらはいつ寝てんだ・・・?
あのチェンナイの夜と同じく
懐かしくも鬱陶しい
リクシャーワーラー、タクシードライバー、客引き達だ。


「あーーそうそう日本から来たんだ、ハハハッ!」


「あぁ2回目だ。ハハハッ!」


「え?うん、好きだよインド。ハハハッ!」


「リクシャー?あー後で後で。」


「ホテル?あーーー決まってるよ。・・・だいたい。」


「あ、じゃぁまた後で。シーユー!!」


空港内に引き返す我々。



・・・・・


「・・・やめるか?」


「あーー、無理だな。」


「チェンナイの比じゃねぇな。」


「首都だしな。」


「目ぇ血走りすぎだろ?」


「確実ヤバイだろ?」


「連れてかれるね。山奥に。」



「・・・朝を、待つか。」


深夜のリクシャー移動には慣れていたはずだが
デリーという街の重さと気だるい空気と
ほの暗い電球の光に照らされ
より強調されたその闇の深さに圧倒され
我々は空港内で一夜を明かすことを選択した。



到着ロビーのイスに横になり
機内からパクって来たマレーシア航空のブランケットにくるまりながら
我々は朝を待つ。




つづく