第1章 FOUR YEARS LATER

ヴァラナシのモヌーが言っていた。
「またいつかインドに来てくれ。
その頃には俺はプロのミュージシャンになってるから。」


デリーのバナナ売りがカタコトの英語で言っていた。
「カム、インディア、アゲイン。」


そして帰国便の機内でM上は言っていた。
「もう多分二度とインドに行くこともないだろうなぁ・・・。」



あれから4年経った。



―― 2004年10月6日 ――



朝、というよりもうすぐ昼か・・・。
いつもより遅い朝を迎え
窓を開ければカラリとした秋晴れであった。


今日の夕方の便で
二度目のインドに旅立つ。
今回も前回と同じくM上との2人旅だ。



なんも準備してねぇな・・・。


ひとまず伸び過ぎた髪を切りに
家を出る。


いつも髪を切ってもらっている店長に
いつものように髪を切ってもらう。


「いやぁ、今日からインドに行くんですよぉ。」


「へぇ〜、インドですかぁ。」


・・・


驚くほど反応が薄い。
インドってあんまりメジャーじゃねぇのかな・・・。


「何時の便ですか?」
思い出したように店長が訊いてきた。


「あー、今日夕方の便です。」


「それって間に合わなくないですか?ハハハッ・・・。」



・・・確かに。


ここへきて急に焦りが募ってきた。
2回目だからって慣れすぎ・・・
もとい、ナメ過ぎじゃねぇ?!


髪を切り終えた後
急ぎ足で近所の100YENショップに駆け込み
圧縮袋やTシャツなどの旅の必需品を購入。


家に戻り、急いで荷支度。


いい加減に準備を整え
電車に乗り込んだときには
既にM上との待ち合わせ時間まで
30分を切っていた。



そこから40分かけてようやく新宿に到着。


ここから成田エクスプレスに乗って
新東京国際空港に向かうため
M上と合流。



「遅ぇよバカ!!!」



うわ〜〜・・・。
早くもM上ぶち切れなんですけど・・・。




    つづく