2007年12月2日 決着

The NAF in the SweLLのスーパースパイラルベーシスト
パウこと俺と
The NAF in the SweLLのファンタスティックアルケミックドラマー
佐藤との間で4年にも渡って繰り広げられてきた
広島産VS三陸産【牡蠣戦争】。


そもそもこの仁義なき戦い
岩手県出身の佐藤と
広島県出身の俺の
時に狂気とも取れる地元愛に起因する。


戦いは
ナフのミーティング中
リハーサル中
レコーディング中
ライヴ直前を問わず絶えず繰り広げられ
その度、吉祥寺、調布、渋谷などに
血の雨が降ったものだった。


「牡蠣は三陸産のほうがうめぇよ!!
 身は小ぶりやけど
 ぎゅっと締まっとって
 噛みしめるとじゅわっと旨みが広がんだよ!!」
 牡蠣はリアス式海岸に育まれた
 天然モノの岩牡蠣がいちばんじゃぁ!!!」


と佐藤が叫べば


「お前、なんでところどころ広島弁なんじゃぁ!!?
 牡蠣は広島じゃぁ!!
 養殖なめんなぁ!!
 広島の牡蠣のあのスケールと旨さは
 職人さんが3年かけて創る芸術品なんじゃぁ!!
 あの牡蠣には宇宙が詰まっとんじゃぁ!!!」


と俺が噛み付く。


戦いは未来永劫続くかと思われたが
しかし先日
その長き戦いについに終止符が打たれた。


今回のThe NAF in the SweLL広島ライヴツアー。
その過酷なツアーの最中
俺と佐藤は英気を養う為
瀬戸内の幸を味わうため街へ繰り出した。


まずは前回の広島帰省中に
メバル釜飯やシャコの刺身などを味わった
お気に入りの「魚籠」を訪ねるが日曜定休。
本屋に何度も立ち寄り
広島ガイドブックに載っている店を訪ねるが
すべて日曜日定休。
最終的に西日本を中心にチェーン展開する
「さかな市場」八丁堀HANARE店に落ち着く。


この店なにが良いって
刺身等をオーダーすると
冷たい取り皿。
焼き魚等をオーダーすると
ちゃんと温めた取り皿を持って来てくれる。


その心遣いに感激しながら
我らが安芸津の酒『富久長』を飲み
食も進む。


もちろん牡蠣もオーダー。
生牡蠣が品切れのため
殻付きの焼き牡蠣を。


ありあまる火のエネルギーを吸収し
パカッと開いた殻の蓋を取り
レモンを少々
そして辛口醤油を一滴だけ。


殻の端を口元にスタンバイ。


箸を使って
ぷりぷりとした身も
溢れ出す汁も
全てまとめて
口の中に放り込む。


最初のひと噛みの瞬間・・・


「旨い!!
 旨すぎる!!!
 ぷりぷりっやぞ!!
 これぷりぷりっやぞ!!!」


俺も
そして佐藤も大感激だ。


しばし幸せな時間が流れる。
鳩ではない。
牡蠣こそ平和の使者なのだ。


しかし、殻付き牡蠣を注文して
出てきた牡蠣は3個。


「お前、ラスト1個食って良いよ。」


「おぉ!!まじで?!
 ありがとう!!
 まじ旨いわこれ!!」


「・・・ただし
 三陸産より広島産のほうがうまいって言ってから食え。」


「はっ?!
 なんだそれ?!!
 三陸産には三陸産の良さが・・・。」


「んん〜〜〜〜??
 イヤならいいんだよ〜。
 イヤなら別に〜〜〜〜〜・・・。」



「くっ・・・。
 さ、三陸産より・・・
 広島産のほうが・・・
 ・・・旨いですっ・・・!!!」


The NAF in the SweLLの
歴史が動いた瞬間であった。