Sダカネ少年とアスベスト問題


※この物語はフィクションでありSダカネ少年は架空の人物です。

 The NAF in the SweLLのVocal&Guitar 定兼 良輔 氏とは一切関係ありません。



アスベストが社会問題になって久しい。
今でこそテレビや雑誌などで仰々しく紹介され
数々の駅やビルなどで対策工事が行われているが
Sダカネ少年にとってはそれはもう何年も前から
深刻な問題であった。


あれは小学校の頃
理科の授業での出来事だった。


Sダカネ少年とその友人P少年の
その日の授業は
理科室で
アルコールランプを使った実験だった。


確かビーカーに液体を入れて
アルコールランプで熱すると
ビーカーの中の液体がなんやら・・・
といった実験だったが
その実験でビーカーを載せる四角い金網、
あの金網の真ん中の白い部分が、
石綿、俗に言うアスベストだったのだ。


当時からアスベスト問題に取り組んでいたP少年は
この理科の実験に身の危険を感じていた。
これって噂の石綿ってやつじゃないかのぅ・・・。
確かこのカケラが肺に刺さってガンになるって本に書いてあったで・・・。
ヤバイのぅ・・・。こいつはヤバイのぅ・・・。
Sダカネ君に相談しよう・・・。


まずここでSダカネ少年に相談してしまったことが
そもそもの間違いであった。


・・・・・


「・・・そうなんよー。本で読んだんじゃけどこの石綿ゆうのが
 知らん間に口から体の中に入って肺に刺さるんじゃって・・・。
 それが原因で何年か後に肺ガンとかになって死ぬらしいで・・・。」


「ほんまなん?!この白いやつが?!!」


「ほーよ。この白いやつが石綿ゆーてやばいらしいで!!」


「たいへんじゃぁ!!みんなに知らせんといかんわい!!
 白い悪魔じゃあーーー!!!」


Sダカネ少年は皆を救うために立ち上がった。


近くにいた友人達に
石綿アスベスト)の危険性を説いて回るSダカネ少年。


しかしここで問題がひとつ。
P少年の認識も大げさなものだったが
Sダカネ少年の認識はその比ではなかった。


「おい、やばいでー!!なんかこの白いやつが
 心臓に突き刺さって即死するらしいで!!」


話がでかくなってる・・・。


混乱しだす小学生達。


「やばい!死ぬ!!逃げろーー!!」


「キャーーー!!」


「刺さる!!刺さるーーー!!」


「わしまだ死にとうないでーーー!!」


その後数人の生徒が教室から逃げ出し
理科の授業は一時中断。



あとで先生にこっぴどく怒られたのは
言うまでもない。




――Sダカネ少年とアスベスト問題 【完】――