chapter 3 ホテル事情1


インドネシアのホテルは安い。


まぁホテルといっても我々が泊まるのはゲストハウスいわゆる安宿なのだが
ドミトリー(大部屋)こそあまり見かけなかったものの
ダブルルーム・トリプルルームはかなり安い。


インドと比べても設備、サービスを考慮するとお得な場合もあるぐらいだ。


泊まったところにもよるが
初海外の2人(O野峰・U君)もある程度納得できる綺麗さで
トリプルルームで1泊40000ルピア程度。
日本円で約400円。
ひとりあたり150円を切る。


ただし第1回目のジャワ島横断⇒バリ島へ旅行ではすべて水シャワー。
人によって得意不得意はあるだろうが
俺はこの水シャワーが圧倒的に苦手だ。
疲れが取れる気がしない。
気合を入れて体温をあげながら臨まなければならない。
一種のスポーツだ。


ただ短期間で回ったせいかインドネシアの宿はどこも個性的だった気がする。


1泊目はジャカルタにて。
到着は深夜。
空港からタクシー強盗が多発していると噂の通称Mブロックへ。


ガイドブックに載っていたお目当ての宿が満室だったため
恐ろしく暗い路地の途中にあった別の安宿へチェックイン。


近くでライヴかパーティーかやってるらしく
深夜でもにぎやかだったが
サリクラブ爆破テロ直後だったため
その騒ぎを肴に宿の兄ちゃんと
テロと原爆とアメリカ人について片言の談話。


宿は暑い国としては致命的な天井ファンなし。
かわりに日本で祭りや花火のときに出ている露店で見かける
小型の送風機が部屋に置かれていたが
うるさいわ直接強い風が当たって気持ち悪いわで熟睡できず。


2日目バンドゥンではちゃんとした宿に泊まろうと
ガイドブックで宿を調べ
騒音と排気ガスのなか町を歩き回り
お目当ての宿にチェックイン。


トイレ・シャワーは共同だったが
何が良いって朝食つき!
申し訳程度にジャムが塗られた
硬いぱさぱさのトーストと
コーヒーが登場。


まぁなんといっても海外でコーヒーなんて滅多に飲まない。
インドではチャイに比べて高かったし
ここインドネシアでもそんなに金を出してまで
飲もうと思っていなかった。


それが勝手についてきているのだ。
これはラッキーだ。


砂糖を入れて飲んでみる。


「うわ、なんだこれ・・・?!」


下にザラッとした感触が・・・。


「これ、挽いたコーヒー豆がそのまま入ってるじゃねぇか・・・。」


「苦ッ・・・。」


「イジメか?イジメなのか?!」


明け方真っ暗な食堂のため
胡散臭さはさらに倍増。


「なんか間違ってんじゃねぇかこれ・・・。」


「朝早く起こしたからキレてんのか・・・?」


そんなことをくっちゃべりながらも
なんか飲まなきゃ悪いなぁと言うことになり
一気に飲み干す。


アイスコーラのときもそうだったが
こういうヤケクソって良くないなぁ・・。


挽いたコーヒー豆がそのまま入ってる
ややぬるめのコーヒー。
あれほどまずいものはなかったが
どうやらインドネシアのコーヒーは
コーヒー豆が沈むのを待ち
上澄みだけを飲むものらしい。


こんなのは序の口。
インドネシアの素敵な安宿はまだまだ続く。



      つづく