第31章 IN AGRA 5


汚いベッドの上。
うだるような暑さ。
天井に吊るされたゆったりと回るファン。


インド旅行後半
アグラーにて
ついに俺はぶっ倒れた。


熱がある。
しかしそれより問題なのは今まで体験したことがないほどの腹痛と下痢だ。
眠ろうとしても10分もするとトイレに駆け込んでしまう。


何か変なものでも食っただろうかと考えてみるが
考えれば考えるほど変なものしか食ってない気がする。


ここへ来てついにこの旅の秘密兵器、粉状ポ○リスエットを水に溶かして使用。


しかしこれが裏目
なにも口に入れなくても10分持たないが
何か摂取したときはもっとひどい。
飲んでひと息ついたころにはお腹がゴロゴロ鳴り出し
1分もしないうちにまたトイレに。
まさに地獄である。
摂取した水分がそのまま体の中を素通り。
吸収されずにあっという間に出てくる。


・・・よく見たらこのミネラルウォーター、
採水地ガンガー(ガンジス川)って書いてあるじゃねぇか・・・。
死体とか普通に流れてるところだろ?
さすがに上流で採水してると信じたいが・・・。



切り札のはずだったポ○リはまったくの役立たず。
むしろ逆効果。


・・・しかし、まだ奥の手がある。


やはりお腹を壊したときはコレ。
ラッパのマークの正○丸である。


・・・そういえば熱があるな。
コレもいっとくか・・・。


・・・そういえば吐き気もあるってことは胃も今やばいのか?
コレもいっとこう・・・。


そして俺は、
「正○丸」
エス○イム」という名の他より若干安かった風邪薬。
ドラッグストアでワゴンに入ってた激安「胃薬」
の3種類を、用法・用量を守らず大量摂取。



そして10分後。


まるで効かねぇじゃねぇか・・・!!



もはや万策尽きた。
あとはもうベッドに横たわるだけである。


夜が長い・・・。



さすがに脱水症状は避けたいので
ポ○リを一口ずつ飲みながら
ベッドとトイレの往復を続けていると
妙に部屋の外が騒がしくなってきた。


様子を見に行くM上。




どうやらM上の話では同じ宿に泊まっていた日本人女性2人組の片割れも
同じように体調を崩し、
バンディの友達が医者に連れて行こうと大騒ぎしているらしい。


なるほど、バンディの友達が
「ドクター!」という単語を連発しているのが聞こえてくる。
しかし日本人女性は医者に行くことを拒否しているようだ。


そりゃそうだよなぁ、異国の地で病院に行くなんて確かに怖い。


挙句の果てに
「何で俺の言うことを聞いてくれないんだ・・・。こんなに心配しているのに・・・。」
と、嘆きだすバンディの友達。


が、しばらくすると立ち直りまた日本人女性を説得しだすバンデイの友達。
そしてそれを拒否し続ける日本人女性。


こんな問答がしばらく続いた後、
M上が俺の体調も悪いことを伝えたのだろうか
バンディの友達は俺の部屋にもやってきた。


部屋のドア越しに声をかけるバンディの友達。
「おい、大丈夫か?!医者に行くか??!」


か細い声で答える俺。
「いや、大丈夫だ・・・。医者はいい・・・。」



「そうか。」
そして、また日本人女性のところに戻って行くバンディの友達。


え?!そんだけ?!!



お〜〜〜い・・・・・・。





          つづく