第25章 IN INDORE


バスである。


おかしい・・・。
なんで俺はまた深夜バスに乗っているんだ?!
しかもエローラではしゃぎすぎたせいか、
それとも怪しいレストランで食ったくそまずいターリー(定食)のせいか、
体調は最悪だ。


そもそもアーグラーに行くはずだったのだ。
列車で!
アウランガーバードからアーグラーまで列車でおよそ27時間。
飯もトイレもある寝台列車でゆったりと
世界の車窓から気分で行くはずだったのだ!


このバスが向かう先はインドール
ガイドブックにも載っていない町だ。



ことの始まりは数時間前。
アウランガーバードに4日もいた我々は
そろそろ次の町に行くかということで
列車のチケットを取りにアウランガーバードの鉄道駅へ赴いた。
相変わらずの長蛇の列に並び
当然の如く次々割り込みしてくるインド人にイライラしながらも
予約窓口に到着。
が、
本日発のアーグラー行きの列車は予約で一杯らしい。


・・・・・
「やべぇよ、予約一杯だってさ。」


「どうする?でも少しでも進んどかないとやべぇだろ。」


「そうだな、やべぇな。時間もねぇし。いつまでもこの町にいるわけにもいかんしなー。」


「と、なると・・・、バスしかねぇな。今から行けば夜の便に間に合うだろ。」


「おし、バスで行けるとこまで進んどこうぜ!」


「よっしゃ、バス停に急ぐぞ!!」



・・・今考えると、別にやばくもなんともない。
次の日まで待って列車で行けば良いだけの話だ。
そんなに時間が無いこともないし、
そこまで急ぐ理由は無い。


そしてバス停に到着。
予約窓口の上にある行き先リストに「インドール」の文字を発見。


「おい、インドールってどこだ?」


「聞かねぇ町だな。地図で見るとアウランガーバードとアーグラーの中間ぐらいだけど。」


「ということは結構進めるな。地図に乗ってるくらいだからそこそこでかい町だろ。」


「おし、とりあえず行ってみるか!!」



我々はいったいなにをそんなに急いでいたんだろう・・・?
冷静になってみるとまったく意味がわからない。
トラベラーズ・ハイとでも言うのだろうか、やけにテンションが上がっていた我々は
その日の夕方発の深夜バスで急遽インドールへ。



が、バスに乗って1時間で俺後悔。
プネー以来絶えず腹の調子は悪い。


またもや揺られに揺られ
深夜3時ごろインドールに到着。




暗ぇ・・・。


まだ夜が明けてないこともあるが
それにしてもしょぼいバスターミナルだ。


「こりゃぁ、歩いて宿探すのは危険だな。リクシャーに乗るか。」


深夜のリクシャーも危険は危険なのだが、
それでも右も左もわからない町で歩いて宿を探すよりはましだ。


深夜のバス停でだらだらとしているリクシャーワーラーを発見。


「ア?ホテェル??チープ??オーケー、カモンッ!!」


そしてその男のリクシャーに乗り込む。
いかにもガラの悪いリクシャーワーラーだが
こっちは2人だ。
万が一なにかあっても2対1ならなんとかなる!



男がリクシャーのエンジンをかけ、
いままさに出発するというときに
別のインド人がリクシャーに乗り込んできた。


運転席のリクシャーワーラーが振り返り
ニヤッと笑って我々に一言。


「ノープロブレムッ!!ディスイズマイフレンド!!!」




・・・2対2になってしまった。





       つづく