第21章 IN PUNE


さて、とりあえずプネーに着いたのだが
もともと特にこの町に用があった訳ではない。

―そもそも我々はゴアからアウランガーバードに行きたかった。
ゴアの宿で我々はアウランガ−バードに行く計画をたてていたが
そのためにはボンベイという大都市を経由して行かなくてはならない。
しかしガイドブックでボンベイについて調べてみると
サルベーションアーミーやYMCAなど安めの宿でもツインルームで500ルピー前後。
たけぇ。
他の町の3倍はしやがる。
こんな高い街になんて行く気なんねー。
そこで経由地に決定したのがボンベイから東に100キロに位置するここプネーだった。
安いじゃん
この町宿安いじゃぁーん!―


こんな感じで適当に決めた町だ。
モチベーションが高いはずが無い。
つうか腹痛いし。
トイレでの戦いを終えた後バスステーションの近くの食堂でチャーイとサモーサを食す。
ひと休みしたら次は宿だ。
1件目は3ベッドの部屋しか空いていないと断られたが
2件目の宿に無事チェックイン。
その後は町をぶらぶら。

地元人で行列のできる寺院にならんで入り
暗い石造りの狭い寺院のなかで本気で拝んでいるインド人達に紛れ
ちょっと場違いな感じを受け気まずい思いをしたり

旧市街にあるバザールに行き
片方だけで売られているどっかからパクって来たに違いない汚れた靴を見たり
いったい何に使うかわからない、おかしな形をした金属を見たり
絶えずハエがたかっている山積みにされた南国っぽいフルーツを見たりしてるうちに

俺、限界。

宿に戻り、発熱と下痢の為しばしダウン。

中途半端な速度で回るファンを眺めながら昼寝。

そして夜になる。


・・・栄養。
栄養をとらなければ!!!


いい加減インドでの風邪や下痢は
自力で治すしかないことに気づいた俺。

インドじゃ○露丸やパブ○ンなんてまったく効かんし。

そこで夕食のために町に繰り出す。
油っこいのはだめだ。
インドの油は胃腸の弱い日本人にはきつすぎる。
かといって熱を通していない生野菜なんて今の体調じゃ自殺行為だ。
香辛料なんてもってのほか。
胃に穴が開きかねん・・・。

・・・食うもんねぇ。

インドの食堂で油も香辛料も使ってない料理を探すのは困難だった。
しかし、なにかしら食わなければ・・・。



・・・バナナだ。
バナナしかねぇ!!


考えてみればインドで体調不良の時、これほどありがたい食べ物も無い。

栄養価は高いし、油も香辛料も水も使っていない。

だってちょっとこじゃれたレストランで
OJIYAを頼んでも油と香辛料とトマトを使うインドですから。


屋台でちょっと小ぶりなバナナを購入し、
宿にもどる。
夕食はバナナのみ。
効かないと思いつつも風邪薬と下痢止めを飲んで眠りに就く。

次の日、多少体調が良くなったので
また町をぶらぶら。


とりたてておもしろいものも無かった町だが
郵便局を探してひとりでぶらぶらしていたこともあり
町の様子は割と鮮明に憶えている。


都会でもなく

田舎でもなく


そんなプネーに別れを告げ
我々はバスでアウランガーバードへ

インドの旅の前半の締めとなる町だ。



つづく