Sダカネ少年とウサギのアイランド 後編


※この物語はフィクションでありSダカネ少年は架空の人物です。

 The NAF in the SweLLのVocal&Guitar 定兼 良輔 氏とは一切関係ありません。


メキシコに向かう予定をわずか5分で覆し
アメリカへ向かうSダカネ少年とその仲間の運転する2隻の小型漁船(もちろん無免許運転)。


さらに5分後、強い光がSダカネ少年を襲う。


「そこの船止まりなさい。」


遠くに海上保安庁の巡視船が見える。


真夜中に瀬戸内海を爆走する2隻の漁船は怪しいことこの上ない。

「やばい!!ポリじゃ!!逃げるでーー!!」

全力で走り出した2隻の小型漁船。

何の因果か海上保安庁に追っかけられる中学生達。


さらに走り出して5分後。


「うわーーーー!!」
「やばい!!やばいでー!!」
Sダカネ少年の仲間の乗った船から悲鳴が聞こえる。


「どしたんなーーー?!!はよ逃げんとつかまるでー!!」
もう1隻の船からSダカネ少年の声が飛ぶ。


「スクリューに網が絡まったーーー!!船が動かんわい!!」


「ほんまかい?!そりゃぶちやばいのぅ!はよこっちの船に飛び乗れやーーー!!」
Sダカネ少年とっさの好判断。


Sダカネ少年は自分の船(パクった船)を
仲間の船(パクった船2)に近づかせ
仲間を自分の船に飛び移らせた。


「あの船はもうだめじゃのぅ・・・。」
他人事のように感傷に浸るSダカネ少年。


しかし、まだ海上保安庁の巡視船は追ってくる。
船は1隻失ってしまったがSダカネ一行はさらに逃げる。


「おい!前の方に島が見えるでーー!!あの島に隠れようや!!」
船を全力で走らせ
少年達は瀬戸内海に浮かぶ小さな島に上陸。


「人は住んどらんようじゃのぅ・・・。」
どうやら無人島のようだ。


「お、ウサギじゃ!!ウサギがおるで!!」


「こっちにもウサギがおるでーーー!!」


「お、こっちもじゃ!!」



なにかに気づいたように突然Sダカネ少年が叫ぶ。


「ウ、ウサギの島じゃ!!この島はウサギの島じゃったんじゃー!!」


―【ウサギの島】という言葉自体意味が分からないが
 どうやらたくさんのウサギがいる無人島だったらしい―


「あっちの山のほうに隠れて今夜は過ごそうや!」


こうして、Sダカネ少年とその仲間は
海上保安庁から身を隠すため
無人島の山奥で一夜を明かす。


翌朝、海岸沿いに戻ってみたが
船を陸に固定していなかったため
案の定Sダカネ少年の船(パクった船)は波にさらわれてしまっていた。


「しょうがないけん、泳いで帰ろうやーー!?」


泳いで帰れる距離だったのだろうか・・・。
Sダカネ少年とその仲間達は
砂浜に打ち上げられていた木の板や牡蠣イカダのウキ(発泡スチロール)を
巧みに使い、無事泳いで帰宅。



Sダカネ少年、中学生の時の冒険であった。




―Sダカネ少年とウサギのアイランド―
       『完』