第23章 IN AURANGABAD 2


さて、気まずい宿でアウランガーバードの夜が明け
今日は政府観光局主催のアジャンタツアーだ。


集合場所に集まり、まずまずのバスでアジャンタに向かう。


この日も相変わらず腹は調子悪かったのだが
昼間のバスは夜のよりいくらか楽だ。


途中で同じバスに乗っていたヨーロッパ系のおばちゃんに声をかけられる。
「あなた達、こないだゴアに居たでしょ!!?
私も同じ宿に泊まってたのよ!!!
おぼえてる?!ハハハハッ。」


・・・いや、まったく記憶に無い。
日本人はそんなにめずらしいのだろうか・・・?
我々が興味なさそうな曖昧なリアクションをとっていたので
おばちゃんもそれ以降は話しかけてこなくなった。


日本人の女性2人組も同じバスに乗っていたが
シャイな我々は特に話をするわけでもなく
バスはアジャンタに到着。



アジャンターは巨大な石窟寺院群だが順路は決まっている。
そのひとつひとつに入っていくと
中ではガイドのインド人が欧米人を集めて壁画についての説明をしている。



うーーーむ、つまんねぇ。
いや、つまんねぇからアジャンタ。
これが世界遺産か?
ガイドいらねぇし。


壁画もすごいものらしいが
まったくもってグッと来ない。


ひと通り回って、レストランでコーラまで飲んだが時間が余ってしまった。


バス出発まではまだ時間がある。


・・・バナナでも買うか。


少しうろうろしてバナナ売りのおばぁちゃんを発見。
バナナを1本買おうとするが
おばぁちゃんはバナナを一房出してくる。


「いや、1本でいいから。」


しかし、まったく伝わってる様子はない。
おばぁちゃんはバナナを一房差し出したまま
早く金払えよといった雰囲気だ。


今回は俺の英語がどうとかいう問題ではなく、
どうやらこのおばぁちゃんは英語自体がわからないようである。


埒があかないのでそこら辺にいたインド人を捕まえ通訳を依頼する。


「バナナを一房じゃなくて1本だけ買いたいんだけど?」


おばぁちゃんに伝える通訳インド人。


2、3おばぁちゃんと言葉を交わし通訳インド人から返事が。
「1本じゃ売れないそうだ。」


返す俺。
「じゃ、2本で」


「5ルピーだ。」


お前が値段決めるんかい?!!


1本じゃダメで2本なら全然OKというのもよくわからんが・・・。
おばぁちゃんに伝えず勝手に2本で5ルピーで交渉成立。


バナナを2本もらうが金を受け取ったのも通訳インド人。
通訳インド人はその5ルピー札をポケットにしまい
代わりに小銭を何枚か取り出しおばぁちゃんに渡す。


どうやら中間マージンが発生したようだ。



インド人は商売熱心だなぁと思いつつ
バナナを食って、バスに乗ってアウランガーバードに戻る。



アジャンタ・・・
期待していただけにその微妙さにはがっかりだ。
往復200キロもバスに揺られていた疲労もあり
飯を食った後はすぐに宿に戻り寝てしまった。
アウランガーバード2日目が終了。





翌朝、
宿の前にたたずむ胡散臭い顔の
やせたリクシャーワーラー。




この男、名はアショカ。




      つづく